政府与党は、安保法制の総括審議も行わないまま、参院での強行採決に踏み切ろうとしている。「審議は充分重ねた」「論点は出尽くした」とのことだが、抽象的な表現や喩え話ばかりで、実際のこれまでの事例や起こりうるケースについての政府与党の説明や答弁はまったく不十分である。そこで、戦場ジャーナリストである筆者や、紛争地で活動するNGO関係者らが、安保法制について、もっと審議すべきだった点について、問題提起する。 ○戦争で他国を崩壊状態に陥らせ、人道危機を招いた場合の責任は?安保法制が成立し、集団的自衛権の行使を米国が求めてくる場合、それは日本の防衛というより、米国の対テロ戦争への協力である可能性が高い。だが、米国が主導する戦争で、その攻撃対象となった国が崩壊状態に陥り、多大な人道危機を招いた場合、そして、その戦争に日本が協力した場合の責任はどうするつもりなのか? 具体的な事例として考えるべきなのが、イ