7月5日に行われた東京都知事選。現職の小池百合子氏の圧勝というかたちで終わったが、この選挙を通して見えてきたことがある。それは、「都民の間でレイシズムが広く浸透しつつある」という恐ろしい事態だった。 グロテスクな差別を肯定する社会といかに対峙していけばいいのか──排外主義の現場を取材してきたジャーナリストの安田浩一氏にご寄稿いただいた。 ーーー 悪意と敵意をたっぷり含んだ怒声が響き渡る。 「多くの人を殺したのは他でもない、ここにいる”支那人”なんですよ」 それが政治団体「日本第一党」党首・桜井誠氏の第一声だった。 6月18日、都知事選告示日である。同選挙に立候補した桜井氏が最初の街頭演説先として選んだのは中国大使館前(東京都港区)だった。 中国人の蔑称である「支那人」を連呼し、さらには新型コロナ肺炎を「武漢肺炎」と言い換え、聞くに堪えないヘイト街宣は続く。 特定の地域や民族に対する偏見を防
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