批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 生権力(せいけんりょく)という言葉がある。フランスの哲学者フーコーの概念で、人間を家畜のように捉える権力を意味する。たとえば税制を変えれば出生率も変わるが、そのようにして集団を「管理」するのが生権力である。 生権力の働きは、非人称で政治的に中立なふりをしてくるので抵抗が難しい。だからこそ警戒が必要だというのが常識だったが、コロナ禍でその歯止めは吹き飛んだ。 しかも現在台頭しつつある生権力は、感染拡大防止という「絶対善」とGPSのような監視技術に結びついているため、はるかに強力である。韓国や台湾では初期からスマホの位置情報で感染者の行動を監視している。欧州も始めている。 ビッグデータの利用はさらに多くの国で行われている。米国ではスマホ監視により集会が確認され警
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する連載「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「バリアフリー」です。 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」、通称「バリアフリー法」が日本で施行されて、10年以上経過しました。これにより、駅や道路、電車、建築物などで段差をなくしたり、エレベーターを設置するなどのバリアフリー化が進められました。「バリアフリー」という言葉が登場したのは1970年代。人権保護の観点から、差別や偏見を乗り越え、誰もが均等な権利を得て暮らせる社会を、という流れが生まれました。 ところで最近、テレビや新聞などで「障がい者」と表記されるのを目にしますね。「害」という字を使うのは、障害のある方を傷つけるのではという考えからなのですが、NHKでは明確な理由で「害」を使い続けています。それは、「障害」はその人自身ではなく、社会の側にある。障害者
■日本は年寄りに冷たい国だ 日本は年寄りに冷たい国である。私は、長年そういい続けてきた。 【この記事の画像を見る】 今回の新型コロナウイルス肺炎の蔓延(まんえん)で、さらにその思いを強くしている。 勤め人や学生たちは、企業や学校から指示が出るから、それに従って動けばいい。 だが、働いていない年寄りには何の音沙汰もない。情報源は新聞かテレビしかない。ネットの情報は玉石混交で、フェイク情報との見分けがつきにくい。新聞は情報が遅いし、小さな活字を読むのが面倒になった。 結局、朝のワイドショーをボーッと見ることになる。テレビ朝日の「モーニングショー」などは、スティーヴン・キングのホラー映画を見ているかのように、コロナの恐怖をこれでもかと煽り立て、一日中気が滅入る。 ■もしコロナに罹っても、不運だったとあきらめろというのか 多くの国の死亡者の統計から、はっきりしてきたのは、そのほとんどが高齢者で、生
3月13日に参議院本会議で可決成立した「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改正案に反対する「憲法研究者有志一同の声明」が前々日の11日、東京都内で開かれた記者会見で発表された。神戸学院大学の上脇博之教授や名古屋大学の森英樹名誉教授ら63人の学者が賛同し、同9日の弁護士らによる「コロナ新法反対声明呼びかけ人会」の「緊急声明」に続く法律関係者の反対表明となった。 「声明」では、特に改正案に盛り込まれている「緊急事態宣言」について「政府の恣意的判断によって、権力の集中を招き、市民の自由や権利を広範に制限し、市民生活の破綻につながりかねない」とその危険性を列挙。政府の新型コロナウイルスへの対応が混乱を重ねている中、「適切な統治能力を欠いた状況下での拙速な改正は百害あって一利なし」と強調しながら、「不必要な法律改正を中止し、感染拡大防止のため最大限の努力を行なう」よう要請している。 記者会見では、
<デトロイトで58歳女性の新型コロナ患者に壊死性脳症の症状が......免疫機能が過剰反応を起こす「サイトカインストーム」が原因か> 米ミシガン州デトロイトで入院中の女性が、新型コロナウイルスによるものと見られる、脳が壊死する症状になっていることが分かった。非常にまれな症状のため、新型コロナが直接の原因かどうかははっきりしないが、合併症の可能性があるため担当の医師らは患者の治療にあたる他の医師に注意を呼びかけている。 【ニュース動画】全米感染例の4分の1がニューヨークに集中 3月31日に放射線医学誌『ラジオロジー』の症例報告として掲載されたのは、新型コロナウイルスに感染した58歳の女性患者で、脳損傷を引き起こすまれな症状「急性壊死性出血性脳症」と診断された。報告した医療チームによると、この症状は過去の感染症の関連の症例はあるが、新型コロナウイルスでは初めてのケースだという。 女性患者の診断
<ヤングケアラー~幼き介護>「家族を介護する10代」全国に3万7100人 負担重く、学校生活や進路にも影響 通学や仕事をしながら家族を介護している15~19歳の子どもが、2017年時点で全国に推計3万7100人いることがわかった。毎日新聞が国の統計を独自に分析した。「介護する10代」の現状が全国規模で判明したのは初めて。うち1万2700人は週4日以上介護していた。こうした子どもはヤングケアラーと呼ばれ、負担が過度になれば心身や学校生活・進路に影響が出るとされる。支援を受けられず周囲から孤立する深刻なケースも目立つ。【向畑泰司、田中裕之】 【過酷な日々】ヤングケアラーの男性がつけていた介護の日記 ◇本紙調査で判明 8割が「通学しながら介護」 総務省の17年の就業構造基本調査は、家族を介護している15~29歳が全国に21万100人いると推計している。毎日新聞は公的統計を民間が応用することを認め
【AFP=時事】ナイジェリアの警察当局は6日、同国南西部オグン(Ogun)州にある違法の医療施設から子ども1人と妊婦6人を含む13人を救出したと発表した。 【写真】南スーダン「レイプキャンプ」の実態、女性数千人が性奴隷に 20~25歳の女性らは警察に対し、「赤ちゃん工場」と呼ばれる施設の所有者が、女性らを妊娠させるために男性たちを雇い、営利目的で新生児を売っていたと話している。 こうした「赤ちゃん工場」は通常、民間診療所を装って妊婦を収容し、新生児を売りに出す小規模な違法施設の形を取る。中には若い女性の意思に反して監禁およびレイプし、闇市場で新生児を売ることもある。 警察当局のアビンボラ・オイェイェミ(Abimbola Oyeyemi)氏はAFPに対し、「モウェ(Mowe)周辺にある施設から逃げ出した収容者1人が警察に内報したことから、2月28日に今回の作戦が実施された」とし、「施設の所有
新型コロナウイルスの感染が大きく広がる可能性が出てきた今、東京の街を歩くと、場所によってはふだんの人通りがないし、雰囲気も何となく殺伐としている。そして世の中には自粛ムードが広がる。東日本大震災で福島第一原発がメルトダウンした後の東京や、昭和最後の数カ月の街を思い出す。 非常事態が発生すると、そんなふうに周りをけん制する自粛ムードに陥りがちな国民性を私はあまり好ましいとは思わないが、自分の判断で動こうとする人たちや、他人の判断を尊重する人たちもたくさんいる。それなのに、首相による、自粛気味のムードに油を注ぐようなここ2日の要請はどうだろう。 ■一番の「犠牲者」は子どもである 27日のイベントの自粛要請だけでも驚いた。言われるまでもなく、すでにいろいろなイベントの主催者が自主的に延期や中止を決めている。そこへ昨夜、全国の小中高校に休校まで要請した。 規模が大きすぎるこの事態には、すでに批判の
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く