「裏社会の人間はどうカネを稼いでいるのか、彼らはふだん何をどう考え、どうカネを得るために行動しているのか、彼らの間ではどんなシノギの種類があるのか……」 こんな書き出しから始まるのはヤクザや組織犯罪集団、マフィアなどの取材で知られるノンフィクション作家、溝口敦の『詐欺の帝王』(文藝春秋)。この本は、こうした興味から取材をすすめてきた作者が、4年前まで詐欺業界の周辺で「オレオレ詐欺の帝王」といわれてきた男に接触。詐欺の世界について聞き取りを行い、書き上げたという。 だが、同書を読んでいて印象に残るのは、詐欺の手法よりも、“帝王”といわれた男の意外な素顔と経歴である。 男の名は本藤彰。もちろん仮名だ。グループが手がけていた詐欺は「オレオレ詐欺にとどまらず、ワンクリック詐欺、未公開株詐欺、社債詐欺、イラク・ディナール詐欺など多岐に渡る」という。 “帝王”といわれれば、作者の代表作『食肉の帝王』(
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