・猪俣祐介『ホモソーシャルな戦争の記憶を越えて ー「満州移民女性」に対する戦時性暴力を事例としてー』(『軍事史学』第51巻 第2号) 単に市井の歴史好きに過ぎない私が、アカデミックな論文をこうして紹介するのは分不相応な気はするが、「慰安婦」問題などの戦時性暴力に興味のある人にとっても必読の論文だと思ったので紹介したい。 この論文は「満州国」へのソ連侵攻後、満州国各地で起こった満州移民女性に対する戦時性暴力について、日本社会ではなぜ長い間その記憶が封印されてきたのか、なぜ被害者は戦後50年を経た1990年代後半から重い口を開けるようになったのかという問いを立て、そこには日本社会における強固なホモソーシャルなナショナリズムがあったのではないかということを被害者へのインタビューを基に明らかにしている。 この論文を読んだ後、前回のエントリで話題にした「援助交際」について、「援助交際などそれほど重要