重慶市をはじめて訪問する日本人は、空港から街中へ移動する際、嘉陵江の向かいに映える景色の美しさに一様に感動する。山肌に隙間なく密集する高層ビル群、その間を縫うように走るデザイン豊かなモノレールは、重慶を代表する構図の一つである。 このモノレールの建設にあたり、日中交流の秘話が隠されていることを知る人は、当時のパイオニアたちが勇退していくに伴い、残念ながら年々減っている。重慶における日中交流のシンボルともいえるモノレール誕生物語を末永く記憶にとどめておきたい。そのような思いから、当時の関係資料や関係者からの聞き取りを通じ、その概略をまとめてみたので紹介する。 重慶市の交通事情 実際に目にしたことのある人であれば容易に想像がつくが、重慶市の中心部(特に渝中区)の地形は山の凹凸が激しく、外から見るとまるで香港を思わせるような外観である。坂が多い中に建物が密集しているため、その隙間を縫う道路は狭い

