映画監督・伊丹万作の名文『戦争責任者の問題』(「伊丹万作全集1」筑摩書房刊)を以下全文紹介する。ちなみに彼の息子は、『お葬式』『マルサの女』等の作品で知られる映画監督・伊丹十三である。この『戦争責任者の問題』は敗戦の翌年1946年4月28日、伊丹が肺病のため病床で書かれた。伊丹はこう書いている── 「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。 はからずも伊丹のこの指摘は正鵠を射ている。まもなく戦争がはじまるわけだが、イスラム原理主義勢力が同時多発テロを画策し、それを受けてアメリカ(および連合国)が報復による戦争を行う? こんな“茶番劇”にだまされていては、今ごろ伊丹もさぞ苦虫を噛みつぶしていることだろう。真相はまったくの裏返しだ。戦争を引き起こすために、すべてが手筈どお