少し前になるがIT業界の先駆者的な人物と酒を飲む機会があった。いろいろ興味深い話を伺ったのだが、その中でも「日本では破壊的技術をもってしても業界の秩序を変えることは不可能。抵抗勢力とうまくやっていく方法を考えなければだめだ」という指摘がおもしろかった。 わたしはこれまで米国を中心にインターネットのような技術が業界の秩序を破壊するのを何度も見てきたのだが、その人によると、日本では同じような秩序破壊はなかなか難しい、という。それよりも既存の秩序も納得するような方法を見つけ出さない限り、時代は前に進まないのだそうだ。還暦を迎えた大先輩の意見だけに、なかなか重みがあった。 わたしは以前から、金融、通信の次は、メディアに変化の波が押し寄せると考えている。既存メディア企業に加え、IT企業が覇権争いに突入し、勝者は1、2社だけで、あとはコンテンツ提供者のワン・オブ・ゼムになる、というのがわたしの予測だ。