「因数分解なんて社会に出た時、何の役にもたたないじゃないか」というベタな反抗期を送ったことはあるだろうか。実際、自ら口にしないまでも、周囲でそのような台詞を聞いたり、似たような疑問を抱いたことはあるかもしれない。本稿は「今まで何故学んで(或いは学ばされて)きたのか」を発達心理学と言語の話を交え、記していくものである。 「世界を単純化して現在を生き残ろうとする人々」。この言葉を見て何を思うだろうか。 イギリスの言語学者であるバジル・バーンステインは言語コード論と呼ばれる理論を提唱し、言語活動の形式を「限定コード(restricted code)」と「精密コード(elaborated code)」の二つに分類した。限定コード(制限コードとも)と分類された表現形式は、主観的であり具体的、また、より現実に根付いた直接的な表現を多く用いられるものであり、共通体験を前提とした文脈に依存する。対して精密