1962年、アメリカではボサ・ノヴァがちょっとしたブームになっていた。 その火付け役となったのが、ジャズ・サックス奏者のスタン・ゲッツがギタリストのチャーリー・バードと録音したアルバム『ジャズ・サンバ』だ。しかし、この時点ではまだ本物のボサ・ノヴァではなく、アメリカ人の解釈によるボサ・ノヴァ・テイストのジャズが主流だった。 それから2年後の1964年、スタン・ゲッツは本場ブラジルからボサ・ノヴァの大物歌手ジョアン・ジルベルトを迎えて、アルバム『ゲッツ・ジルベルト』を録音する。これが、アメリカにおけるボサ・ノヴァ・ブームを決定づける一枚となった。 当時、マイルス・デイヴィス・クインテットに加入していたジャズ・サックス奏者ウェイン・ショーターは、1966年に出会ったポルトガル出身のアナ・マリアと結婚し、ポルトガル語やブラジルの文化、音楽などを妻から吸収していった。同じサックス奏者としてスタン・