天皇・神話・震災……なぜ日本のサブカルチャーは右傾化するのか? 新海誠監督『すずめの戸締まり』(2022年)、海上自衛隊と『ONE PIECE』、庵野秀明総監督『シン・ゴジラ』(2016年)などを論じた批評家・大塚英志氏による短期集中連載第2回(第1回を読む)。 ◆◆◆ 「シン・日本浪漫派」? さて、新海誠や『シン・ゴジラ』をめぐる批評に共通する「古層」を介して「日本」を「実装」する動きは、フラットな表層でその実存が証明できる海自の国防意識とは違って、個人的なクリエイティブや批評に於ける試みという点にはいささか神経質でありたい。彼らは彼らの選択として、ぼくのような伝奇作家のギミックの選択とは違う、ある意味で真面目に、表層の下にもう一層、「古層」を必要とした印象なのだ。 そのことを考える道順としては庵野秀明の『シン・ゴジラ』への「批評」からまず入ろう。 映画『シン・ゴジラ』DVD(庵野秀明総