聖と穢、政と暴を背負った男の肖像 昨年、「全国水平社」が結成100周年を迎えた。それを機に部落解放運動のこれまでの道程と現在の状況を明らかにするさまざまな書物が出版され、イベントが催されたが、もっとも見応えがあったのが、被差別部落出身者にキャメラを向け、差別の始原に迫るドキュメンタリー映画『私のはなし 部落のはなし』(満若勇咲監督)であり、もっとも読み応えがあった書物が、自由同和会京都府本部会長上田藤兵衞を扇の要にしながら部落解放史の光と闇を描いたノンフィクション『同和のドン 上田藤兵衞「人権」と「暴力」の戦後史』(伊藤博敏)であった。 2つの作品にともに登場するのが、京都駅の北東に隣接する、京都で最大の被差別部落「崇仁(すうじん)地区」である。 『同和のドン』では、アメリカ資本やサラ金「武富士」や、それらのバックに付いた中野会や会津小鉄会など地上げする側からこの地区の歴史が語られ、『私の
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