ナラ・シネフロのデビュー・アルバム『Space 1.8』がリリースされる前のことだ。インタヴューができるというので質問を送った。しかし、返ってきたのはインタヴューを受けられなくなったというレーベル側のコメントだった。オフィシャルなプロモーション取材が優先されたのだろうと理解したが、そこにはシネフロ本人のお詫びの言葉も添えられていた。丁寧な対応だと思った。その後に公開されたピッチフォークのインタヴューで、「アンビエント・ジャズ」や「ハープ奏者」というメディアの形容からシネフロが逃れようとする発言をしているのを知った。完全に制度化されたジャズの間違った売られ方、教えられ方への厳しい批判を口にして、本物のクラシックのハープ奏者が見たら発狂するような伝統を破る弾き方をしていることもクソ喰らえと言わんばかりに強気に語っていた。そうした発言は意外ではなく、当然の態度のように感じた。 シネフロの音楽は、