習近平政権の対外強硬姿勢が、またひとつ中国外交に黒星をもたらした。南シナ海問題でオランダ・ハーグの仲裁裁判所が7月12日に出した判決は、中国の主張を国際法上の「根拠がない」として退ける厳しいものだった。これにより習政権の威信は大いに傷つき、国内外で厳しい立場に置かれることになった。習政権の「積極外交」はどこでつまずいたのか。北海道大学公共政策大学院専任講師の西本紫乃さんが解き明かす。 ナイキのスニーカーに言いがかり 「米国と日本が背後でフィリピンをそそのかしたからだ」 「(フィリピン産の)干しマンゴーをボイコットしよう!」 「沖ノ鳥島について中国も提訴して、日本の野心を打ち砕け」 今回の判決に対して中国国内のネット上では議論が沸騰している。判決は「九段線」で囲んだ海域は主権が及ぶとする中国の主張は国際的に認められないとする厳しい内容だった。これに対する中国国内の反応は二つに分かれている。