日本最大の暴力団「山口組」のトップが狙撃される前代未聞の事件が37年前、京都のナイトクラブで起きた。事件の首謀者は、松田組系「大日本正義団」2代目会長だった吉田芳幸さん(72)。武闘派とまで呼ばれた親分だったが、後にキリスト教に回心し、神の教えを説く伝道者となった人物だ。裕福な家庭に生まれながらも、父親が経営していた会社の倒産で貧しい幼少期を送り、「日本一のヤクザになる」と極道の世界へ。山口組との熾烈(しれつ)な暴力団抗争を繰り広げた末に逮捕され、刑務所の中でさえ山口組関係者から常に命を狙われた。日本中を震え上がらせた抗争事件の裏に何があったのか。産経新聞の取材に対し、吉田さんが重い口を開いた。 裕福な生活から極貧へ 「タンスの中にお金がたくさんあって、それを盗んでは友達にあげていた」 昭和18年1月、大阪府布施市(現東大阪市)でも屈指の資産家の家に生まれた。父親は糸工場の経営を番頭に任せ