私立大に対し、ガバナンス(組織統治)強化を迫る形となった文部科学省有識者会議の報告書。トップが所得税法違反容疑で逮捕され、本部が捜索も受けた日本大でもガバナンスの欠如が指摘され、これが一連の事件につながったとされる。日大以外でも、刑事事件に発展する事態が後を絶たない。「学問の自由」といった原則を前に、国公立大などと比べて疑惑に対して適用できる罪名は限られ、捜査の手立てが少ないという実態もある。 5期13年にわたって大学トップに君臨した田中英寿(ひでとし)容疑者(74)は逮捕から2日後の1日に理事長職を辞任した。3日午後には定例理事会が開かれ、日大は田中容疑者の理事職の解任、法人監事の辞任を発表。約30人の理事も全員辞任を表明しているが、加藤直人新理事長のもとで当面職務を続ける方針という。 日大は体制刷新に一定の方向性を示したものの、一連の事件をめぐる執行部の動きは鈍かった。10月7日に元理