空気中のCO2と水、光、そしてほんの少しの養分を組み合わせて抽出された液体資材を農作物の葉っぱに吹き付けるだけで、植物の成長を加速させることができる。そんな夢のような技術をパナソニックホールディングス(パナソニックHD)が2024年度の商品化に向けて研究開発を加速させている。 同社内では「バイオCO2変換」という名称で進められてきた研究で2018年より応用研究を開始。遺伝子改良を施した葉緑体の起源であるシアノバクテリアがカギを握っている。具体的にはシアノバクテリアの外膜の構造維持に関わる遺伝子発現を抑制することで、光合成によって生育されるが、その際に固定した有機炭素の約50%が細胞の外に放出されるようにした。この有機分子の中に、植物の成長を刺激もしくは補助する細胞膜脂質や核酸代謝物などの生体分子群が大量に含まれており、それらが総合的に植物に関与することで、成長につながることを確認したという