(c) ひぐちアサ・講談社/おお振り製作委員会 野球アニメで、あえて敗北にフォーカスする。みんなが共感できるのは、「痛み」だから。 記事前編でそんなこだわりを語った水島努監督が、特に苦心したのは「悪役」だった。監督曰く、「悪人が輝いたっていいじゃないか」。 どういうことなのか聞いていくと、そこには若者の輝きに向けた、大人からのまなざしがあった。悪役・呂佳を通して、テンプレートにはまらない、新しい野球アニメの魅力を探っていく。 今年から硬式で新設された県立西浦高校野球部。気弱だがコントロールは抜群なピッチャー・三橋を擁する西浦高校は、全国高校野球選手権埼玉大会を、3回戦の崎玉高校、4回戦の港南高校と順調に勝ち進んでいった。いよいよ5回戦、美丞大狭山と対戦する西浦だが、スタンドには、美丞大狭山高校野球部のコーチ・呂佳の姿が。自分たちのプレーは呂佳たちによって研究されており、苦戦を強いられる。オ
(c) ひぐちアサ・講談社/おお振り製作委員会 「失恋したことない人とは仕事したくないんですよ」―― そう語るのは、アニメ監督・水島努氏。人気高校野球マンガのアニメ版「おおきく振りかぶって ~夏の大会編~」(セカンドシーズン)の監督を務めた。 アニメのファーストシーズンでは、主人公の所属する「西浦高校野球部」が、接戦の末、強豪・桐青に勝利するまでを描いた。だが今作では、大会初出場で勝ち登った西浦ナインたちが強豪チームについに「大敗」してしまう結末がメインのモチーフとなっている。 クライマックスは、控えの選手・西広が三振してしまう場面。敗北感がありありと伝わるこのシーンをあえて大写しにする。スポ根モノの代名詞、「努力の末につかんだ勝利」とは真逆にあるものをクローズアップする理由とは何なのか? 水島監督の美学に迫った。 今年から硬式で新設された県立西浦高校野球部。気弱だがコントロールは抜群なピ
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