私が拙著『電子書籍元年』を上梓して7か月になる。その5月から電子書籍にまつわる状況がどれだけ変わったのだろうか。そう思ってざっと見回しても劇的な変化はないようだ。もちろん電子書籍のタイトルは増えている。端末も増えている。今月になって端末の登場にも拍車がかかっている。 “自炊”派も増えているようだ。今月発売されたソニーのReaderは、通信機能がないので大丈夫なのかと売れ行きを心配していたが、どうも自炊派に支持されているらしい。どうせUSBでファイルを転送するので通信など必要ないということなのだろう。ここがLIBRIe(リブリエ)のときとは違うといったところか。 今年はメジャーな作家が電子書籍を新刊で発行したことも大きな話題になった。京極夏彦、村上龍、平野啓一郎……。いままでの電子書籍は新刊ではなく既刊本ばかりだったので、そういう意味では前進している。しかしだからといって大きく変化したとはい