近年、多くの企業が注目する健康経営。ただ、トップダウンで進めすぎると、社員には「よいパフォーマンスを発揮するために健康でいなさい」と勤め先に強いられていると受け取られかねない。ディー・エヌ・エー(DeNA)は一人の社員の気づきから専門部署を立ち上げ、「ボトムアップ型」で成果をあげている。様々な施策を主導する平井孝幸CHO(最高健康責任者)室長代理に、取り組みの経緯や活動内容を聞いた。 ――そもそも「健康経営」を進め始めたきっかけは。 「人事部に所属していた2015年のことです。日頃、同僚の姿勢や歩き方がとても気になっていたんですね。首が前に出ていたり、猫背になっていたり。当社のようなIT(情報技術)企業は、外回りの多い営業職などが中心の業種に比べ、机やパソコンに何時間も集中して向かわなければならない。深刻な肩こりや腰痛につながりかねないと感じていました」 「当初は『健康経営』という言葉自体