中東革命をなぜ手放しで喜べないか(1/2) 名著、「アメリカのデモクラシー」を著した19世紀のフランスの社会思想家、アレクシス・ド・トックヴィルは民主主義の支持者だったが、同時に民主化された国の先行きに不安を抱く、「ガーデド・オプティミスト(慎重な楽観主義者)」であった。 ○トックヴィルの洞察 貴族が政治を支配する君主制の下では、社会はいくつもの階層に分断されるが、個々の階層内での団結は強い。そのため国は「利益集団」の連合体という形態を取り、その集団の抵抗があるため、国全体を君主の意思で自在に動かすことは困難で、君主制が「独裁政治」に転化することは稀である。これに対して、国民の間の身分の差を認めない民主主義の下では階層に基づく利益集団が消滅し、誰もが一個人にしか過ぎない。しかるに、巨大な社会の中での個人の力は僅かだから、国民は「個人」として行動する場合には微弱である。そのため国家、社会の