【ジュネーブ伊藤智永】世界貿易機関(WTO)は15日から3日間、ジュネーブで最高意思決定機関の定例閣僚会議を開き、貿易自由化の国際ルール作りを目指し10年間続けてきた多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)について「近い将来の包括合意はできない」という異例の議長総括を採択する。打開への手詰まりを認める事実上の交渉「休止」宣言で、世界貿易は第二次大戦後続いてきた多国間交渉機能を当分失い、自由貿易協定(FTA)や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などの2国間・複数国で協定を結ぶ流れが一層加速する。WTOは加盟国間の紛争処理機関に重心を移していく。 ドーハ・ラウンドの行き詰まりは11月、仏カンヌの主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)宣言が「これまでのやり方で妥結できないのは明白」と明言。米・ホノルルのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でも追認され、WTOが全加盟国による一般理