「大分は経営破綻(はたん)に近い。再建途上の会社としてあってはならない経営が行われていた」。鬼武チェアマンの口調は厳しかった。融資される6億円は、Jリーグが有事のためにプールしていた基金残高の半分以上。理事会で融資に異論は出なかったというが、他のクラブに与える衝撃は大きい。 Jリーグによると、大分の借入金総額は来年1月末で約12億円に上るという。今季に入り成績低迷に伴う入場者減、人件費の高騰などで借金が一気にふくらんだ。借入金に頼る自転車操業的な運営手法ゆえに経営難の表面化が遅れ、Jリーグも実情を見抜けなかった。 2005年に創設された同基金の制度適用は、J2の草津、岐阜に次いで早くも3例目。この日は岐阜の返済期限の延長も決まった。筆頭株主が変わった東京Vは事前に確保するスポンサー料収入の条件をクリアしひとまず存続が決まったが、「いばらの道が続く」(鬼武チェアマン)ことに変わりはない。 1