W杯と国際サッカー連盟(FIFA)を支える巨額のテレビ放送権料。その取引の最前線に、電通の高橋治之顧問(66)は30年以上、立ち続けている。 ◇ W杯のテレビ放送権を巡っては2001年5月、FIFAと各国放送局の権利料取引を仲介していた電通出資のISL社(本社・スイス)が倒産。当時は、テレビ放送権バブルの崩壊とも指摘された。 高橋氏は「あれは経営の失敗。W杯放送権が無理に高騰して起こった倒産ではない」と反論する。当時のISL社長は、同社の上場計画を進め、W杯や五輪、陸上競技以外の事業にまで手を広げて失敗したという。電通はこの方針に反対し、ISLへの出資比率を49%から10%まで減らしていたため、打撃は小さかった。 ただ、FIFAの放送権料収入には穴が開いた。「その時、一肌脱いだのが電通だった」と高橋氏。役員会を説き伏せ、FIFAへの出資手続きを行った。「FIFAのブラッター会長とは、長く苦