なぜか一年前の「いかにしてマクロ経済学はオワコンになったか」と言うエントリーが話題になっていて、「カリブレーションという不思議な加持祈祷でパラメータの値を定める習性がある」と非難されている。ミクロ計量分析の結果からパラメータを外挿したり、マクロ経済データからパラメータを推定するのは、不思議な加持祈祷になるのであろうか。 動学経済モデルも複雑になってきて、物理学のモデルがそうであるように、数値演算してシミュレーションしないとモデルの特性が分からなくなっている。数値演算にするには具体的なパラメーターが要るので、定めないといけない。物理学の力学系モデル、例えば多体問題のシミュレーション*1をするときに、惑星の重量や速度と位置の初期値を定めることを指して、「我々が作ったモデルが正しいとは言えないので、現実の動きに合うようにパラメータを恣意的にそれらしい理由を付けて定めましょうね、というものである」
経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか? 資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか? 所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか? 決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かす。格差についての議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー。 「本年で、いや、この10年で、最も重要な経済学書になると言っても過言ではない」 ポール・クルーグマン(プリンストン大学教授) 「地球規模の経済的、社会的変化を扱った画期的著作だ」 エマニュエル・トッド(フランス国立人口統計学研究所) 「時宜にかなった重要書だ」 ジョセフ・スティグリッツ(コロンビア大学教授) 「かれの解決策に賛成するにせよ、しないにせよ、資本主義を資本主義から救おうとする人たちにとって正真正銘の課題だ」 ダニ・ロドリック(プリンストン高等研究所教授) 「この事実
Paul Krugman, “The ‘Libertarian Moment’ Will Have to Wait,” Krugman & Co., August 22, 2014. [“Libertarian Fantasies,” The Conscience of a Liberal, August 9, 2014] 《リバタリアンへの転回》は起こりそうにない by ポール・クルーグマン Damon Winter/The New York Times Syndicate ロバート・ドレイパーが先日『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』に書いた長文は,「リバタリアンへの転回」の可能性について論じている.この記事には,すでにけっこうな数のコメントが集まっている.その多くは,根拠とされる世論調査を疑問視している. 『ニューヨーク・マガジン』の評論家ジョナサン・チェイトが指摘しているように,独
キャットボンド(カタストロフィ・ボンド、英: cat bond, catastrophe bond)は、スポンサーから一定のリスクを投資家に移転するためのリスク関連証券である。大災害債券とも。一定の条件が満たされると元本の償還が免除される変動利付社債としてしばしば発行される。大規模自然災害に対する伝統的な再保険の代替策として使用されることが多い。 たとえば、フロリダ州所在の物件に関する保険を引き受けることで、リスクのポートフォリオを構築した保険会社は、大規模なハリケーンの発生によって支払不能に陥ることを防止するため、リスクの一部を投資家に移転することを望むかもしれない。伝統的な再保険を購入することもできるし、キャットボンドを発行することにより投資家にリスクを移転することもできる。後者の場合、まずSPV(特別目的会社)を設立し、SPVが投資家に対してキャットボンドを発行する。利率は通常、LI
先日、知り合いの数学者(大学の数学の先生)から「学生に経済数学を勉強してもらうのに、一緒に教科書を読もうと思うのだが、お勧めの本はないか」という質問を受けた。もちろん、ぼくが書いていれば、一も二もなくそれを勧めるのだけれど、笑、残念ながらまだ経済数学の本は書いていない。それどころか、ぼくが書いたいくつかの経済学の本は、意識的に(確信犯的に)数式をほとんど使わないで書いている。というわけで、何をお勧めするか思案した。それで思いついたのが、尾山大輔・安田洋祐・編『経済学に出る数学』日本評論社であった。刊行された頃に一度ざっと目を通して、「こりゃいいな」と思ったんだけど、そのまま放置していた。今回は人に勧めることもあって、少しまじめに読んでみた。 改訂版 経済学で出る数学: 高校数学からきちんと攻める 作者: 尾山大輔,安田洋祐出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2013/03/19メディア
3月20日、全国人民代表大会が注目の指導者人事、憲法改正、行政機構改革を決めて閉幕した。開幕直前に意表を衝く任期制限撤廃などの憲法改正案を発表したことから、世間の関心は「習主席の権力集中」に集中したが、他にも注目すべき変化が幾つかあった。 第一は人事だ。下馬評どおり王岐山氏が国家副主席に、李克強総理は留任、副総理は韓正氏を筆頭に孫春蘭、胡春華、劉鶴氏が選任された。経済政策は劉鶴氏の役割が重くなる一方、李克強総理の影が薄くなりそうだが、これも想定どおりだ。 王岐山氏の分担は? しかし、「未だ全容が見えない。」王岐山副主席が何を担当するのか見えないからだ。巷間では今後勃発する中米貿易戦争の処理を担当すると言われるが、王氏が適任な領域はそれだけではない。 例えば金融だ。「両会」前は今年の重大課題「金融リスク防止」のために、銀行、証券、保険の監督機関を横断的に統轄する「スーパー金融庁」の新設が取り
研究室HPへ 概要 都市を考える際に欠かすことのできない経済の視点を養うことを目的としたミクロ経済学ゼミです。このゼミでは、生産者と消費者それぞれの立場の考え方(戦略)と、その結果どのような均衡状態が発生しているのかを考えます。輪読形式で発表を行いました。 開催日時: 2012年 7月 1日(日)8:00~(各章40分) 対象書籍: 奥野正寛:ミクロ経済学,東京大学出版会,2008. その他参考文献 ジョセフ・E・スティグリッツ, スティグリッツ ミクロ経済学, 東洋経済新報社, 2006. 荒井一博, ミクロ経済理論, 有斐閣アルマ, 2010. 第1章 消費者行動 消費者とその行動仮説 ミクロ経済の主体は家計と企業である。本章では家計の構造を消費者行動として解説し、経済学の前提としての家計と、消費者満足度を表す効用の概念、そして効用最大化により説明される需要の性質を扱う。 1章発表資料
すらたろう氏が独習者のためのおすすめ経済学入門テキストを紹介しているのを見て、ask.fmを始めたところ、経済学研究科に行かないで経済学を学ぶ方法を質問されたのを思い出した。 用途が分からないのだが、SNSで聞かれたのでSNSで使うための知識なのであろう。主に文系学問を学んできた人が、インターネットの交流サイトで経済学を知ったかぶりするための独学方法を考えてみたい。 1. 基礎的な数学を学ぶ 経済学は言葉として数学を利用しているため、ある程度の数学の知識が必要だ。記号の意味ぐらい分からないと、読み飛ばしもできない。しかし経済学の教科書の数学の説明は極端に省略されているので、やさしめの数学書を読んだ方が理解が深まる。線形代数、集合、位相、解析のイロハを学ぼう。 一般教養で数学を履修していなかった人は、『微分・積分30講』と『線形代数30講』を読んでおく方が良いと思う。だらだら読んでいても一ヶ
ド・ブロムヘッド&アイケングリーン&オルーク 「1930年代の大恐慌下において極右勢力の台頭を支えた要因は何か?」(2012年2月27日) ●Alan de Bromhead, Barry Eichengreen and Kevin O’Rourke, “Right-wing political extremism in the Great Depression”(VOX, February 27, 2012) 世界中を巻き込む経済危機が長引くにつれて、1930年代と同じように、政治的な過激主義が勢いを増すのではないかとの恐れが広がりつつある。①民主主義を採用してからの歴史が浅く、②極右政党が既に議会でいくつか議席を得ており、③新政党が議会で議席を獲得するハードルが低い仕組みの選挙制度が採用されているようだと、政治的な分裂が生じたり過激主義が台頭したりする危険性が高まる傾向にあるが、④景気
もうずいぶん昔から、日本にカジノを作ろうとかいう話があちこちで取りざたされていて、オリンピックが決まったのを期に外国人から金をむしれるようにあれこれ、という話も最近はよく耳にする。で、The Economist にアジアのカジノに関する記事が出ていた。 The Rise of the Low Rollers (The Economist, 2013/9/7 pp.53-54) たーいへんに面白いっす。基本的には、アジアにもどんどんカジノが今後できるみたいだよ、という記事なんだが、でもその中でもマカオがすごい、という話。やっぱり、ばくちが好きなのは中国人。それと本土でつながっているのが何よりのメリット、ということで、さらにいまや香港空港とマカオを橋で直結する計画が進んでいて(ええっ、珠江の河口を横断するの!!??)、またマカオの隣の広東省の島 (横琴) がいまやカジノ特区でマカオのカジノはそ
Paul Krugman, “Japan: Don’t Ruin A Good Thing”, September 19, 2013. 日本:いいところを邪魔すんな by ポール・クルーグマン Paresh/The Khaleej Times – Dubai, UAE/CartoonArts International/The New York Times Syndicate ここまでのところ、アベノミクスはホントにホントうまくいってる。「日本銀行は変わったんだ」、「宴もたけなわのところで酒瓶を片付けてしまうようなマネはしない」、「持続的なプラスのインフレ率を目標にする」とシグナルを送り、また、債務は高水準ではあるものの、なんらかの財政刺激をまもなく行うというシグナルも送ることによって、日本の当局者たちは、短期の経済実績で刮目すべき転回を成し遂げた。 でも、この短期の成功は、自己破滅的なお
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