中央自動車道上り線・笹子トンネルの天井崩落事故は、9人の死亡者を出す大惨事となった。「天井板を支えるつり金具を固定していたボルトが、地下水により腐食した。古くなり振動で緩んだ等の原因で抜け落ちた可能性が高い」(トンネル設計の専門家)とみられており、国土交通省は高速道路6社に対し、つり天井式トンネルの緊急点検を指示した。しかし、同じような天井式のトンネルは全国の高速道路で40本、国道で9本もあり、一斉点検は容易なことではない。 特に笹子トンネルは、今年9月の詳細点検で異常がないとされていたが、事故の原因とみられるトンネル最頂部は、目視のみで打音点検は行われていなかった。その一方、「4年前の関門トンネルの天井取り換え工事では、つり金具の変形や破損がいくつも発見されていた」ことも明らかになっており、点検に瑕疵がなかったかも問われる。いずれにしても、過去に例を見ない今回の事故は、「高度成長期に急ご