「けもの道」に姿を現したエゾクロテン。はじめは警戒していたが愛嬌(あいきょう)ある姿を見せてくれた=北海道・新得町 ■“よそ者”に侵される生息環境 北海道・新得町のトムラウシ温泉。絶え間なく降り積もる雪で白銀の世界だ。斜面に小さな足跡が無数に温泉宿にむけて続いていた。その「けもの道」にカメラを設置、遠隔操作で姿を待った。 雪の中から現れたのは、日本では北海道だけに生息するエゾクロテンだ。小さな足跡の主は愛くるしい表情でこちらを見ている。 エゾクロテンは一時は毛皮を目的とした乱獲により絶滅寸前の危機にあった。当時の記録によると明治34年の捕獲数は約7500匹。それが19年後の大正9年には214匹までに激減。この年から禁猟となり環境省のレッドデータブックで準絶滅危惧(きぐ)種に分類されている。 エゾクロテンの生態に詳しい斜里町立知床博物館学芸員の村上隆広さんは「知床では事故などで持ち込まれるエ