サントリーホールディングス(HD)とキリンホールディングスが経営統合を断念することになった。サントリーHDは大阪で1899年の創業から一貫して株式を上場せず、同族経営を維持。一方、キリンHDは三菱財閥をルーツに持つ上場企業で、経営態勢に対する考え方の違いが交渉を難しくしたとみられる。 サントリーHDの佐治信忠社長、鳥井信吾副社長は創業者・鳥井信治郎氏の孫にあたる。HD株の9割は創業家一族の資産管理会社「寿不動産」が握る。 オーナー経営は、短期的な利益に引きずられることなく、10年、20年と時間がかかるウイスキー造りでは利点があったとされる。さらに、ビール事業が08年に初めて黒字を達成したのは参入から実に46年目。息の長い取り組みと、鳥井信治郎氏の「やってみなはれ」の言葉に象徴される、進取の精神が持ち味だった。 サントリー社内には「一定割合の創業家の持ち株比率が必要だ」という声が根強く