沖縄県・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で、日中関係のもろさが改めて浮き彫りになった。菅直人首相は関係改善の糸口を探るため急きょアジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席。中国の温家宝首相との会談は廊下で“偶然”実現し、「『やあやあ』という感じ」(首相)で心もとないながら、歩み寄りが演出された。日本が得たもの、失ったものとは。2日にわたり外交、歴史の観点から考える。【中澤雄大】 ◇結果的に日米強固? 「係争地」世界に発信? 「これからも日本固有の領土、尖閣諸島を守るために頑張ります!」。首相がベルギー・ブリュッセルに滞在中の4日深夜。ウチナンチュ(沖縄人)が夜ごと集う東京・四谷のとあるバーに、威勢のいい声と拍手が響いた。声の主は、尖閣諸島を行政区域に持つ中山義隆石垣市長(43)。主不在の首相官邸や総務省などを慌ただしく訪ねて海域の警備体制強化や地元漁業者の避難港設置などを要請した。泡盛の心