独週刊誌シュピーゲル(電子版)は6日、ギリシャ政府が共通通貨ユーロから脱退し、独自の通貨を導入することを検討していると報じた。状況に詳しいドイツ政府筋からの情報だとした。 ただ、同誌はドイツのショイブレ財務相がこれに反対しているとも伝えた。もし脱退すれば、ギリシャの独自通貨は最大で50%切り下がり、ユーロ建てだった債務が国内総生産(GDP)比200%にふくらむとのドイツ政府内の試算があるとしている。ギリシャ政府は同日夜、報道内容を強く否定する談話を発表した。(ロンドン=有田哲文)
津波と火災で跡形もなくなったミヤコーバスの気仙沼営業所。整備場と焼けこげたバスの残骸だけが残っていた=1日、宮城県気仙沼市 東日本大震災の直後にいち早く復旧し、被災者の足になった被災地のバス会社が苦境だ。震災前からの経営難に加え、震災で利用が激減。復興を名目に政権内で浮上した「東北道無料化」構想でマイカー利用者が増えれば、さらなる窮地に追い込まれかねない。 宮城県気仙沼市で路線バスを運行するミヤコーバス(仙台市)は、津波とその後の火災などで営業所とバス31台を失った。仮の営業所を置く高台の美術館駐車場には、宮城ナンバーに交じって「石川」や「金沢」ナンバーのバスが4台。同じグループ傘下の北陸鉄道(金沢市)から提供された。 親会社の宮城交通(仙台市)と合わせ、約700台のバスで、県内外を結ぶ高速路線と、地域の路線を運行する県内最大手だ。路線バスは震災翌日から仙台市内で運行を再開し、4月下
東日本大震災でビクともしなかった東京スカイツリーには“絶対にゆるまないネジ”が使われています。世界唯一の技術を発明したハードロック工業社長、若林克彦さん(77)の経営哲学は「喜んでもらうこと」。約40年前、その見解の違いから無償で会社を手放してしまいます。(喜多由浩)「たらいの水」が信念 イギリスやドイツ、台湾の高速鉄道、日本の各新幹線、瀬戸大橋…。“絶対にいゆるまないネジ”は、今や世界中で引っ張りだこ。従業員わずか50人弱の大阪の中小企業が、誰にもまねのできない技術を持っているのである。こんな痛快な話はない。しかも百パーセント国内生産。まさに、「ものづくり」で長く世界をリードしてきた日本企業のお手本ではないか。 「ウチのネジ(ナット)は鉄道、橋梁(きょうりょう)、高層タワーなど、絶対にネジがゆるんではならない場所に使われています。これまで世界中のメーカーから、多くの類似商品やコピー商品が
陸自北富士駐屯地(山梨県)第1特科隊、郷田直人3等陸曹は1通の手紙を記者にみせた。 「きゅうすいのおにーさんへ がんばってください みんなでちからをあわせてがんばってください みずありがとう」(原文) 出動命令を受け、郷田3等陸曹が向かったのは茨城県北部。田中智顕(ともあき)3等陸佐を現地指揮官に特科隊員51人が3月14日から29日まで、駒門駐屯地(静岡県)の隊員と計85人で給水、給食活動を展開した。活動範囲はひたちなか市のほか北茨城市、高萩市、日立市など。避難所には被害が大きい沿岸部の住民が避難していた。余震は続き、震度4から5弱が1日10数回。 郷田3等陸曹は日立市の高台にある久慈中学校で給水活動にあたった。住宅被害を免れた住民らも水道が破損して隊の給水車に列を作った。1度に200人も並ぶ。1人が容器を持っていなかった。夢中で沿岸から逃げてきた人に容器はない。郷田3等陸曹はとっさに「バ
今から7年前の春、今回の東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手・宮城両県の三陸沿岸を歩いた。明治から昭和初期の地震学の泰斗、今村恒明(明治3~昭和23年)の足跡を訪ねる連載の取材のためだった。 明治29年に38・2メートルの大津波を記録した岩手県大船渡市の綾里白浜地区(旧綾里村)も訪ねた。当時の村の人口の半数以上にあたる1350人が犠牲になった。37年後の昭和8年にも津波で200人近い村人が命を失った。 明治の津波後に現地を訪れた今村は絶句した。村人が沿岸の更地に再び家を建てていたからだ。 「津波が来たら逃げるしかない。最初から高台に住んでいれば、難を逃れられる確率は高くなる」 そう強く訴えた今村だが、漁には不便であり、当時は名の知れない若者の言葉に耳を傾ける人はほとんどいなかった。 昭和の津波後、地震や津波の権威として名声も高まっていた今村は再び現地に入った。子供の時に明治の津波で一家を失
体に備わる免疫の仕組みを使いがんをたたくがん免疫薬「オプジーボ」などの効き目を予測し、過剰な投薬を避けるための研究が相次いでいる。東北大学などは免疫細胞が分泌する特定の分子ががんの…続き 磨いた「確信」 がん克服に光 本庶氏ノーベル賞授賞式 [有料会員限定] がん免疫薬、投与の「やめどき」研究へ 全国40病院 [有料会員限定]
東京電力・福島第1原子力発電所での事故発生から約2カ月を迎える連休明け以降、原発の安全性を高めるための国際的な議論が本格的に動き出す。その直前のタイミングで、菅直人首相は中部電力浜岡原発の全面停止要請を表明。一方、原子力ビジネスを担う世界の産業界は、原発推進に向けた理論武装を急ぐ。事故現場では今も収束への苦闘が続くが、「ポスト福島」の原発体制づくりへ、各国や企業のせめぎ合いがもう始まっている。
中部電力の浜岡原発の全基停止を求めた菅直人政権は「停止は地震の発生確率が突出した浜岡だけ」(経済産業省幹部)と強調する。しかし、他の原発も老朽化や活断層など問題を抱える。このため、各電力会社は、地元の反対などで定期検査中の原発の再稼働が難しくなるなど「浜岡停止」の余波を警戒している。また、浜岡原発停止は東日本大震災後、供給不足にある東京電力の夏の電力需給対策にも影響を与えそうだ。【山本明彦、立山清也】 「東電への夏の電力融通は厳しくなるかもしれない」。政府の浜岡停止方針を受け、中部電幹部は6日夜、こう漏らした。東電は今夏に向け、供給力を5500万キロワットまで上積みする考えだが、このうち最大40万キロワットは中部電からの融通分と見られる。ところが、浜岡停止で中部電も夏の電力需給が逼迫(ひっぱく)しそうで、融通が受けられなくなる事態も想定される。 さらに、東電には、海江田万里経産相が「(大震
東日本大震災では、河川や海岸の堤防も甚大な被害を受けた。例年なら被災地もあと1カ月ほどで梅雨入りするだけに、損壊した堤防の周辺で暮らす住民からは、再度の浸水被害を懸念する声も上がる。国や自治体は対策を急ぐが、本復旧には時間がかかり、今年の梅雨や台風には応急復旧で対応せざるを得ないのが現状だ。【須藤唯哉、樋岡徹也】 北上川では、津波が河口の追波湾から約50キロ上流まで遡上(そじょう)したことが確認されている。川沿いの堤防には亀裂や沈下の被害が各地で発生。河口から約5キロ離れた宮城県石巻市谷地(やち)地区の集落では、民家が40軒程あったが、堤防を越えて津波が押し寄せ、被害を免れたのは3軒だけだった。 同地区の今野仁一さん(62)は自宅2階から見た津波を「真っ黒だった」と振り返る。震災後、妻や近くの親族と2階で寝泊まりしており、長年暮らしてきた土地を離れるつもりはないが、決壊した堤防が心配でたま
東京電力福島第1原発の事故以来、強まる原子力への逆風下で発表された中部電力浜岡原発の全面停止要請。運転開始から30年を超える「老朽炉」など、他原発もさまざまな問題点を抱える中、明確な根拠が示されない要請に、関係者からは「なぜ浜岡だけなのか。『反原発』の逆風が他原発へ及ばぬようにするのが最大の狙いではないか」との声が漏れている。保安院も寝耳に水 「浜岡については、法律を超える判断があった」 菅直人首相が停止要請した翌7日夕。経済産業省原子力安全・保安院で会見した西山英彦審議官は、監督官庁としての戸惑いを隠せなかった。 福島第1の事故を受けて電力各社に指示した緊急安全対策の状況を週明けに公表する予定だった保安院の幹部にとっても、発表は寝耳に水。 保安院は急(きゅう)遽(きょ)、各原発の対策状況を「適切に実施している」と公表したが、浜岡原発については「一層の信頼性が求められる」としただけで、京都
菅直人首相は1日の参院予算委員会で、東日本大震災をめぐる政府対応について、自民党の島尻安伊子氏が世論の評価が低いとただしたのに対し、「すべてが初めてのことなので完全とは言わないが、全力を挙げて対応してきた」と答弁した。 この発言を聞いて平成7年に阪神大震災が発生した当時の首相、村山富市氏を思い出した国民も多かったのではないか。村山氏は自衛隊派遣など初動の遅れを指摘され「なにぶん初めてのことだから」と答えたため、首相としての資質が問われ支持率が急落したことがある。16年ぶりの大震災を受け、首相の「禁句」が再現されてしまった。 なぜ禁句なのか。首相の仕事は国民の生命財産を守ることに尽きる。だとすれば、外交安保から防災に至るまで、危機管理能力こそが首相の資質を問う最重要テーマだと言っても過言ではない。 日本で想定される危機なら、ミサイル攻撃、離島侵攻、原発や新幹線、自衛隊基地へのテロ攻撃、そして
7日午後9時47分ごろ、紀伊水道を震源とする地震があった。気象庁によると、徳島県那賀町と美波町で震度3を観測した。震源の深さは約40キロ、地震の規模を示すマグニチュードは4.1と推定されている。
浜岡原発の全3基の停止を求めた菅直人首相の政治判断に対する与野党の反応は、賛否両論が入り交じった。決断そのものには好意的な声が上がったが、経緯や手法には批判が相次いだ。 民主党内では、首相に批判的な議員も首相の判断を評価した。柏崎刈羽原発を抱える新潟県選出の森ゆうこ参院議員は小沢一郎元代表に近いが、「率直に評価したい」と述べた。鳩山由紀夫前首相も外遊先の北京市内で「評価したい」と語った。 ただ、鳩山氏は「熟議がなされたか、懸念が残る」とも指摘した。敦賀原発などがある福井県の出身で元資源エネルギー庁課長の松宮勲衆院議員は「なぜ突如として決断したのか。浜岡が他の原発とどう違うのか、合理的理由を明らかにすべきだ」と強調。電力総連の出身議員を抱える旧民社党系のベテランも「世界に脱原発のサインを送ることになりかねない。再稼働への道筋をきちんと示すことも責任だ」とクギを刺した。 原発を推進してき
浜岡原発停止へ 地震と津波対策に万全尽くせ(5月7日付・読売社説) 菅首相が、静岡県にある中部電力浜岡原子力発電所の全原子炉を停止するよう要請した。 浜岡原発は、30年以内に87%の確率で発生するとされる「東海地震」の想定震源域のほぼ中央にある。首相の要請は、この「特別な状況」を勘案した結果という。 その上で政府は、大津波に備えた新たな防潮堤を設けるなど、中長期的な安全対策を確実に実施するよう求める方針だ。 東日本大震災での教訓を生かそうということだろう。東京電力福島第一原発が、想定外の大津波に襲われ、大事故を起こしたことを踏まえれば、やむを得ない。 浜岡原発では、五つの原子炉のうち1、2号機は廃炉が決まっている。3号機は定期点検のため停止しており、4、5号機だけが運転中だ。正常に運転している原子炉について政府が停止を求めるのは極めて異例だ。 だが、浜岡原発は首都圏まで直線で180キロ・メ
東日本大震災の救援活動に最大時で約1万8000人が参加した米軍「TOMODACHI(トモダチ)作戦」の現場での活動が30日、ほぼ終了した。 今後も航空機による輸送を随時行うほか、各基地司令部の人員も手厚くし、原発などへの即応態勢も維持する方針。 米軍は震災翌日の3月12日に物資輸送などを開始。20日頃には派遣規模が艦艇約15隻、航空機約140機、人員約1万8000人にまで膨らんだ。これまでに提供した水は約7700トン、食料などは約300トンにのぼった。このほか、日本側の要請で輸送した物資は約650トンだった。 その後活動主体は米陸軍や海兵隊の地上部隊に移り、線路や駅舎のがれきを除去する「ソウルトレイン作戦」も行った。4月30日、宮城県内6か所に開設した被災者用シャワー室の運営を陸上自衛隊に移管、現場での活動をほぼ終えた。
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