中国共産党の元最高指導部メンバー、周永康前政治局常務委員(71)をめぐり、習近平指導部が汚職などの容疑で立件に乗り出すとの観測が広がっています。香港誌「明鏡」(電子版)は昨年12月、同氏による汚職金額が1000億元(約1兆7000億円)に達すると報じました。こうした周氏をめぐる中国語メディアの報道で頻繁に登場するのが、「双規(シュアン・グイ)」という言葉です。日本人にはなじみのない単語ですが、中国の司法制度と政治のいびつさを象徴するキーワードでもあります。自殺防止のため1階で聴取 端的にいうと、双規とは中国共産党による「逮捕状なき強制捜査」です。汚職などの党紀違反が疑われる党幹部らに対して、党の統制機関「紀律検査委員会」が規定した場所と時間に出頭を求め、取り調べることを指します。「双規された」などと動詞としても使われます。 建前は任意出頭ですが、移動先の空港や会議の席上などで突然、担当者に
【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信は29日、周永康前政治局常務委員(71)が重大な規律違反の容疑で党の規律部門の取り調べを受けていると伝えた。容疑は明らかにされていないが、汚職などの経済問題の可能性が高い。中国共産党の最高指導部のメンバーを務めた大物政治家が失脚したのは25年ぶり。習近平国家主席による権力集中の一環で、政敵として倒された側面が強いと指摘される。治安、警察部門に今も大きな影響力を持つ周氏の失脚で、政局に激震が走るのは必至だ。 周永康氏は、江沢民元国家主席が率いる上海閥の重鎮として知られる。国有企業、中国石油のトップを経て政界入りし、大きな利権を持つ石油閥の中心人物。公安相を経て2007年に政治局常務委員となり、胡錦濤政権で党内序列9位ながら、警察、検察、司法部門を統轄する責任者である党政法委書記として大きな権力を振るった。 2012年春に失脚した薄煕来(はく・きらい)元重慶
中国四川省出身の富豪、漢竜集団の劉漢・元主席は2月下旬、殺人罪と武器密輸などの容疑で検察当局に起訴され、インターネットで大きな波紋を呼んだ。劉被告は大物政治家、周永康・前政治局常務委員と密接な関係があることはよく知られている。劉被告が起訴されたことは周氏失脚を狙った汚職事件の捜査がいよいよ大詰めを迎えたと見方が浮上している。しかし、インターネットで話題を集めたのは、当局がメディアを通じて公表した劉被告が犯した罪の内容だった。 検察当局によると、建設業者出身だった劉漢被告は、1993年ごろから四川省で犯罪組織を形成し、そのメンバーは約40人。複数の警察幹部と検察官も含まれている。1998年、劉被告が同省綿陽市で進めた開発プロジェクトが地元住民の反対運動にあい、劉被告は手下に命じて住民リーダーの熊偉さんを殺害した。2009年、同省広漢市で別の暴力団組織に所属する陳富偉氏ら男性3人を劉被告の手下
【北京=矢板明夫】中国の習近平政権が、長く汚職追及の最大標的とみられてきた中国共産党の前政治局常務委員、周永康氏の取り調べを発表した。最高指導グループにあたる政治局常務委員に対しては、現職、経験者を問わず「刑不上常委」(常務委員には刑事責任を追及しない)との不文律があったが、習政権はこの慣例を破った形だ。 周氏は江沢民元主席が率いる上海閥の重鎮として知られてきた。石油閥のトップとして資源利権を使って私腹を肥やす一方、党政法委員会書記を務めた経歴から、司法、警察畑を牛耳ったことで、国内での追及を逃れたとみられてきた。 北京の共産党史の研究者によると、かつての最高実力者、●小平氏は、党内対立が1989年6月の天安門事件を誘発したとの反省から、党内の権力闘争の激化を避けるため「刑不上常委」という言葉を残したのだという。 こうした中で、習氏が周氏拘束に踏み切った背景には、経済利権と治安機関を握り続
【上海=河崎真澄】強大な政治力を誇る「石油閥」を代表した中国共産党の前最高指導部メンバー、周永康・前政治局常務委員に対する取り調べが発表されたことは、独占体質で資金力をもつエネルギー既得権益構造の塗り替えを狙って、習近平指導部がついに“本丸”の攻略に入ったことをも意味する。1988年に石油工業省の解体によって設立された中国石油天然ガス集団(CNPC)など国有石油3社の経験者が人脈を形成し、最高指導部にまで政治的影響力をもつに至ったのが石油閥だ。中国最大の大慶油田(黒竜江省)の開発責任者で毛沢東とも近かった余秋里元副首相(1914~99)から始まったとされている。現在の最高指導部には、石油業界で70~80年代に手腕を評価された張高麗副首相が名を連ねている。
中国共産党の最高指導部を経験した周永康氏が、29日の「調査」発表で政治生命を事実上絶たれた。同党の歴史では、政治の転機で「政敵」とみられた大物が仁義なき失脚に追い込まれてきた。周氏自身の失脚や周辺への波及は、またも党内の勢力図を書き換えるものとなろう。 周氏の周辺では、これまで地盤となった石油閥や四川省の幹部らが相次ぎ身柄を拘束されてきた。昨年、無期懲役の判決を受けた薄煕来・元重慶市党委書記も、周氏に連なる人脈とみられている。 過去に刑事犯として投獄された党政治局員には、薄煕来氏のほか、陳希同・元北京市党委書記、陳良宇・元上海市党委書記がいる。いずれも政治局常務委員入りの「野望」を抱きながら、手が届かないうちにときの政権により葬られた。 党首脳の失脚には、1989年の天安門事件で政治責任を問われた趙紫陽・元総書記がいる。投獄は免れたが、2005年の死去まで自宅軟禁された。 政治闘争が露骨に
【北京=矢板明夫】中国で習近平政権による汚職追及の最大標的とみられてきた中国共産党の前政治局常務委員、周永康氏の取り調べが発表された。経済利権と治安機関を握り続けた周氏をも排除したことで、習主席の求心力を高め、政権基盤の強化につなげようとの思惑がある。しかし、伝統的な権力闘争の手法で、政敵を失脚に追い込んだことは党内の政治バランスを崩し、今後、政局の混乱をもたらす可能性もある。 中国国営新華社通信が「周永康氏への調査」を発表した直後の29日夕、中国の有力経済誌「財経」(電子版)は、周氏の息子の周浜氏が、「違法経営」の疑いで湖北省宜昌市当局に逮捕されることが決まったと報じた。父の政治的な影響力を利用して、石油利権の売買で不正な利益を得た疑いが持たれているという。また、周氏の歴代6人の秘書のうち、すでに5人が失脚しており、弟夫婦や、息子の妻の家族からも複数の逮捕者が出ている。習指導部が政敵を倒
政治局常務委員在任中の2011年3月、全国人民代表大会(全人代=国会)で、地方の代表者たちから握手攻めにあう周永康氏(中央)。絶大な権力と利権を握っていた周氏の回りには、常に人の輪ができた=北京の人民大会堂(ロイター) 胡錦濤政権時代の中国最高指導部(共産党政治局常務委員会)の元メンバーで、汚職の疑いで調べを受けているとされる周永康氏(71)について、ロイター通信は30日、本人に加えて親族や部下ら300人以上がこれまでに拘束され、差し押さえられた資産は総計で900億元(約1兆4900億円)以上に上ると報じた。一部の部下らの逮捕・起訴については昨年来、中国国営メディアでも報じられており、捜査の手が“本丸”である周氏にまで延びるか注目されていた。ロイターは「中国建国以来最大のスキャンダル」と伝えており、事件の余波で中国は大混乱に陥る可能性もある。破られた不文律 最高指導部に近い複数の消息筋の話
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