【台北=矢板明夫】台湾の国防部(国防省に相当)は10日、記者会見を開き、中国軍の戦闘機「スホイ30」や「殲(せん)10」など多数の軍用機が9日から10日にかけて、台湾南西の防空識別圏に侵入したと発表した。台湾メディアは延べ40機以上で「異例の多さ」と伝えた。台湾側は軍用機が緊急発進するなどして対応した。 米国のアザー厚生長官の8月の台湾訪問前から、中国軍は、南シナ海や東シナ海、渤海、黄海などの海域で軍事演習を繰り返し、台湾の南西空域に軍用機を繰り返し進入させるなど、露骨な挑発を続けている。一連の軍事行動は、米台接近に対する「不快感表明」と指摘する台湾の軍事専門家もいる。 台湾の国防部の張哲平副部長は10日、「中国軍の行動は、地域の平和と安定に脅威を与えている」と指摘し、中国政府に対し「厳正な非難」を表明した。