新技術を駆使した掃除機で、日本市場に旋風を巻き起こす。成功の背景には、日本法人の営業部門やコールセンターのたゆまぬ業務改革があった。革新的な技術を、いかに顧客に、販売チャネルに伝えるか。既存の手法の踏襲は通用しない。家電業界で急成長したダイソンの「売れる秘訣」の内側に迫る。 (文中敬称略)<日経情報ストラテジー 2006年11月号掲載> プロジェクトの概要 1993年に英国で創業したダイソンは、ゴミを遠心分離する「サイクロン技術」を採用した掃除機で急成長し、瞬く間に英国の市場を制した。98年に日本法人を設立し、通常の掃除機の3~4倍という高価格商品を発売。「家電王国」で戦いを挑んだ。 当初はそのデザイン性ばかりが注目され、「ニッチなおしゃれ家電」のポジションに甘んじていたが、2004年春に投入した日本向け商品「DC12」で急速にシェアを伸ばした。金額シェアで14%を占め、松下電器産業、日立