新潮選書 2008年7月 タイトルにある「がん検診の大罪」の章である。 1)肺がん検診: いろいろなデータが挙がられているが、著者もいうようにレントゲンと喀痰検査による肺がん検診の有効性については否定的な意見が多いのは事実であろうと思う。むしろここで問題なのは、レントゲン検査の弊害の指摘なのであると思う。イギリスからの報告によると、すべてのがんの0.6〜1.8%はレントゲン検査に起因するのだそうである。イギリスよりもずっとレントゲンを多くとる日本では、3.2%がレントゲンに起因すると推定されるのだそうである。なお岡田氏は氏自身が計算した試算として、レントゲン検査を原因とする肺がんの潜伏期は1〜3年としている(その根拠はここには示されていない)。胃や大腸のレントゲン検査は胸部レントゲンよりはるかに大きい放射線被曝になることはいうまでもない。肺がん検診(年2回のレントゲン検査を毎年)をうけるだ