近年、ビデオゲームによる対戦をスポーツ競技としてみなし、賞金付きの大会などを開催する「eスポーツ」が盛り上がりを見せている。eスポーツについて、オリンピックのメダル種目への採用を巡っての議論も展開されている。 しかし筆者個人としては、eスポーツには、ただ既存のスポーツという概念に収まるのではなく、スポーツ文化に新たな価値観を取り入れる存在になる可能性を秘めているのではないかと感じる。そして将来、「人々が仮想世界のなかに現実とは異なる社会を築く時代」の礎になるのではないか、とも思っている。 この記事では、8月2日から4日にかけてアメリカ・ラスベガスで開催された「EVO 2019」を例に、eスポーツの現状について振り返りつつ、eスポーツと仮想世界とのつながりについて考えていこうと思う。 世界最大級の格闘ゲームの祭典「EVO」 EVOは、格闘ゲームにおける世界最大級のeスポーツ大会である。複数の