書誌とは、書物の内容および形態についての要約的記述であるが、その対象や目的に よって、記述の在り方が異なったものになることは言うまでもない。ここで対象とするの は、一般に日本古典籍(こてんせき)あるいは和古書(わこしょ)、和本(わほん)などと呼ばれ る、日本の近世以前の書物の内、絵本、画譜(がふ)類を中心とする版本(はんぽん)である。 それらは、近代以降の書物とは際だった相違点を有するとともに、絵本、画譜以外の古典籍 とも若干、違った注意が必要である。したがって、その実態を知るための書誌的事項も、お おむね版本一般と変わりはないものの、またおのずから異なったものとならなければならな い。すなわち絵画を主体とする絵本、画譜の実状に即した書誌的事項を立て、適切に記述す る必要がある。 以下、その記述方法の概要を説明することとするが、今回の書誌の記述のレベルは、いち おう解題目録(かいだいもくろ