首相職を設置する国家では、議会による選出または元首による任命が一般的である。しかし、国民の多数が支持する人物が必ずしも首相に就任するとは限らず、国民の意思と乖離する可能性がある。首相公選制は首相を選挙により直接的に選出することにより、民意に基づいた行政運営が行われることを目的とする。実際の制度の運用において政治抗争や政情不安定などの要因がある場合には、それを解決するための一つの方策として首相公選制の導入が主張されることがある[1]。 一概に首相公選制といっても、実質的なアメリカ型大統領制への転換を目指すものや、イギリス型議院内閣制の原理の一部に修正を加えるものなど論者により内容は大きく異なる[2]。 首相公選制のモデルとしては、まず議会選挙から切り離して大統領を選出するアメリカ型大統領制を指向するモデルがある。日本では小泉内閣の「首相公選制を考える懇談会」報告書の第一案(国民が首相指名選挙