理系人材の憧れの職業である医師。今や医学部は成績優秀な高校生の間で最も人気のある学部だ。その頂点に君臨するのが東京大学医学部医学科に進学する理科3類。これまで合格者数でトップを走ったのは灘高校(神戸市)だったが、2021年の入試では2位に後退した。この小さな異変は何を意味するのか。 理3合格は受験生の金メダル「灘高の成績優秀者で、明確な興味・関心事のない生徒はとりあえず理3を目指すという雰囲気だった。本当に医者になりたいという人もいたけれど、どちらかと言えば、腕試しという側面が大きかったと思う」。14年に灘高を卒業し、東大を蹴って米マサチューセッツ工科大学(MIT)に進学した起業家の前田智大さんは話す。 「とりあえず理3」とは驚きだが、ライバル校の開成高校(東京・荒川)で前校長だった柳沢幸雄氏も「理3合格は受験生にとっては勲章のようなものだ」と語る。大学入試を五輪に例えるなら、金メダルのよ