“台湾有事”を巡り、沖縄周辺で軍備強化が進む状況に、沖縄では懸念が強まっている。連載「東アジアの沖縄」では、政治に翻弄されてきた人々に話を聞きながら、東アジアに生きる人々の目線から歴史や交流をひもとき、未来を探っていく。渦中に置かれる台湾の市井の人々は、「有事」をどう感じているのだろうか。連載のプロローグとして、現地を訪ねた記者がルポする。 アジアや欧米などさまざまな国の観光客や地元の人でにぎわう寧夏夜市=3月20日、台湾の台北市 3月下旬の週末の土曜日の夜、台湾・台北市にある寧夏夜市(ねいかよいち)は地元の人や観光客でごった返していた。目当ての屋台に行列をつくり、乾麺や肉を頬張る。家族連れや若者が輪投げやゲームに興じる姿も。“台湾有事”の危機感とかけ離れた平穏な日常があった。 市場で宝くじを売っていた女性に尋ねると「台湾と中国は戦争にならない。周りを見てください。みんな食べて飲んでいつも