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ブックマーク / econ101.jp (13)

  • ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)

    通説では,1990年にかの不動産バブルがはじけてから日は「失われた○十年」に苦しんできたという話になっている.実のところ,一人あたり GDP を見ると,他の豊かな国々にくらべて日の実績が見劣りしはじめた起点は1990年ではなく1997年に思える.97年といえば,アジア金融危機のあった頃だ. この「失われた○十年」論に対して典型的に向けられる反論では,こう語られる――日が停滞しているように見えるのは,大半が人口の高齢化によるものであって,実際の生産性で見ると日は2000年頃から問題なくやっている.新しく出た Fernandez-Villaverde, Ventura, & Yao の論文は,こう主張している: 多くの先進諸国では,この数十年で,高齢化にともなって,一人あたり GDP成長と労働年齢の成人一人あたり GDP 成長のちがいは大きくなってきている.日のように一人あたり GD

    ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)
  • ノア・スミス「東京は新しいパリだ」(2023年7月17日)

    「しあわせに暮らせる場所は,この世に2つだけ.我が家と,パリだ.」――アーネスト・ヘミングウェイ 地上で最高の都市はどこだろう? 「ニューヨーク市」って答える人がいても,笑い飛ばしたりはしない.いまなお名目上は世界最大の経済大国で金融ハブの役回りをしているニューヨーク市は,他のどこの都市でもかなわないほどの経済力を有しているし,地球上の名もなき数百万もの人々にとって,いまでもあそこは夢の都市だ.「上海」って答えが返ってきたら,ぼくとしては懐疑的になってちょっと口を「へ」の字に曲げてしまうかもしれない.とはいえ,富と権力の中心としていずれ中国が先進諸国を圧倒する定めにあると思ってる人にとっては,上海はなるほど論理的な選択だろうね. でも,実のところ,最高の都市といったら東京だ. かくいうぼくは,またまた東京にいくべく支度を調えてるところだ.今年は,これで三度目になる.今度はじめて東京を訪れる

    ノア・スミス「東京は新しいパリだ」(2023年7月17日)
  • ノア・スミス「いろんな経済学の派閥を採点してみると」(2023年7月13日)

    2020年からのインフレを正しく理解したのは誰だろう? パンデミック後に高まったインフレを鎮める戦いは着々と進んでいる.FRB が実際に目標に見据えているものにとても近い数値であるコアインフレ率は,前月との比較で 2% にまで下がっている: コアインフレ率は少しばかり上げもどすだろうけれど,それでも,他のどのインフレ指標を見ても,正しい方向に向かっている.というか,モノは先月よりも安くなってるし,サービス価格のインフレ率も下降傾向にある.最新の賃料を示す各種の数値を見ても,サービス価格は先月より下がってきてる.インフレをはかる各種の数値のなかでも外れ値に比較的に影響されにくい数値を見ても,そのすべてが同じ傾向を示している.基的にすべてのインフレ数値が下に向かっているのを示す表を載せておこう.どの数値も,FRB の 2% インフレ目標に近づいてきている: 2020年以前のような低インフレで

    ノア・スミス「いろんな経済学の派閥を採点してみると」(2023年7月13日)
  • ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)

    By 稲ノ歯鯨 – Own work, CC BY-SA 4.0 2020年代は1990年代とはちがう BBC の東京特派員ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズが書いた,日についてのエッセイが広く話題になってる〔日語版〕.ぼくも読んでみたけれど,ひどくいらいらしてしまった.このベテランジャーナリストは――2012年から日に暮らして働いたすえに――日の印象をまとめている.彼によれば,日は停滞して硬直した国で,「ここに来て10年経って,日のありようにもなじみ,次の点を受け入れるにいたった.日は,変化しそうにない.」 でも,日に暮らしたことがあって,2011年以降も年に1ヶ月間ほどここに来て過ごすのを繰り返してる人物として,そして,日経済についてかなりの分量を書いてきた人物として言わせてもらえば,日はまちがいなく様変わりしてる.すごく目につきやすくて重要なところがあれこれ

    ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)
  • ノア・スミス「エリート過剰生産仮説」(2022年8月26日)

    [Noah Smith, “The Elite Overproduction Hypothesis,” Noahpinion, August 26, 2022] 2000年代から2010年代に,アメリカ憤をためた大卒者を輩出しすぎたのかも? “We’re talented and bright/ We’re lonely and uptight/ We’ve found some lovely ways/ To disappoint” — The Weakerthans ♪オレらはまぶしいほど才能にあふれながら / 孤独でピリピリしてる / オレらが見つけた最高の / 絶望の方法 ――The Weakerthans 目を見張ってしまうちょっとしたデータを見てもらおう:アメリカ国内で人文学を専攻してる大学生の割合は,2010年以降に完璧に崩壊してる. @ipeds_nces just r

    ノア・スミス「エリート過剰生産仮説」(2022年8月26日)
    synonymous
    synonymous 2022/09/14
    エリート絶対窮乏化理論
  • ブランコ・ミラノヴィッチ「ソ連建国の背景について」(2022年8月21日)

    Why was the Soviet Union created? Posted by Branko Milanovic on Wednesday, August 21, 2022 プーチンは、目下ウクライナでの戦争に先立つ形で様々なイデオロギー的攻撃を行い、ウクライナの現在の国境線についてレーニン、スターリン、フルシチョフに責任があるとして国境〔という国際問題〕のパンドラの箱を開けただけでなく、1922年12月のソビエト社会主義共和国連邦の創設についての議論を再び呼び起こした。(プーチンによるソ連の三大指導者への非難は次のようなものだった。レーニンはドンバスにいる多数派のロシア人を無視してドンバスをウクライナに「贈与」した。スターリンは第二次世界大戦後にポーランド東部をウクライナに「贈与」した。フルシチョフは1954年に「理由はともかくとして」クリミアのウクライナへの「贈与」を決定した。

    ブランコ・ミラノヴィッチ「ソ連建国の背景について」(2022年8月21日)
  • ラジブ・カーン「E.O.ウィルソン 1929-2021年」(2021年12月26日)

    E. O. Wilson, 1929-2021 POSTED ON DECEMBER 26, 2021 BY RAZIB KHAN ホピ・ホエカストラは、E.O.ウィルソンが亡くなったことを公表した。このエントリを書いている時点では、まだウィキペディアには記載されいないが、彼女なら間違いないはずだ。様々な訃報記事がこれから増えていくだろう。ウィルソンは重要かつ、論争の的となった人物であった。 今、私が着目したいのが、1970年代後半にウィルソンが人間社会を理解するために生物学的なフレームワークを導入しようとした際に起こった騒動をまとめたウリカ・セーゲルストローレの『社会生物学論争史―誰もが真理を擁護していた』だ。〔当時〕基的に、ウィルソンは、排撃され、人格を否定され、カンファレンス中に左翼学生から物理的な攻撃を受けた。この時の文系-理系論争の当事者のほとんどは、もう亡くなってしまっている

    ラジブ・カーン「E.O.ウィルソン 1929-2021年」(2021年12月26日)
    synonymous
    synonymous 2022/01/02
    ヒトにおける性的二型の研究は慎重に、しかし断固として継続されるべき。
  • ピーター・ターチン「トランプと潜在大衆動員力――エリート過剰生産の果て」(2016年4月21日)

    Donald Trump and Mass Mobilization Potential April 21, 2016 by Peter Turchin 前回の記事では、エリートの過剰生産がいかに政治的不安定性をもたらすかについて話をした。数が固定されている政治的地位を巡って多すぎるエリート志望者が競争することは、つまり地位と権力の追求に挫折する人数が大きく増えることを意味する。そのうちの何%かは過激化し、既存エリートを引きずり下ろして社会的秩序を転覆させるべく積極的に働く「対抗エリート」へと変貌する。 とはいえ対抗エリートの数は少ない。彼らは優れた組織者であるがゆえに危険だが、彼らが社会秩序を覆そうと努力するためには、構造的人口動態(SD)理論の第2の構成要素――高い潜在大衆動員力、つまりMMP――が必要になる。MMPは非エリート、つまり所謂99%[訳注:最も裕福な1%以外の人々]が享受

    ピーター・ターチン「トランプと潜在大衆動員力――エリート過剰生産の果て」(2016年4月21日)
  • ピーター・ターチン「フェミニストから見た人類の社会進化:デヴィッド・グレーバーさんかなり変ですよ その2」(2019年2月16日)

    人類が進化する過程で、不平等の水準は劇的に変化してきている:祖先である類人猿の社会階層から、狩猟採集民の平等主義の小規模社会に、そして権力・地位・富の分配で大きな格差がある大規模な階層的社会へと A Feminist Perspective on Human Social Evolution February 16, 2019 by Peter Turchin 人類が進化する過程で、不平等の水準は劇的に変化してきている:祖先である類人猿の社会階層から、狩猟採集民の平等主義の小規模社会に、そして権力・地位・富の分配で大きな格差がある大規模な階層的社会へと。枢軸時代(紀元前800~200年)は、不平等の進化において、別の注目に値すべき変容――より大きな平等主義への移行の始まりがもたらされており、現在まで続いている。結果、不平等の軌跡はZのように見えるため、私はZ曲線と呼ぶことを以前から提唱して

    ピーター・ターチン「フェミニストから見た人類の社会進化:デヴィッド・グレーバーさんかなり変ですよ その2」(2019年2月16日)
  • リチャード・ヴァーグ「マネーサプライの急激な増加はインフレを引き起こさない」(2017年1月16日)

    Rapid Money Supply Growth Does Not Cause Inflation By Richard Vague マネーサプライの急激な増加はインフレを引き起こさない 政府債務の急激な上昇、金利の低下、中央銀行バランスシートの急激な増加も同様である マネタリストの理論は、1980年代からその後数十年間にかけて支配的な経済思想となった。マネタリストの理論では、マネーサプライの急上昇はインフレの原因になるとされている。しかしながら、この理論は、入手可能な証拠で実際に検証すると棄却される。1960年代以降の47カ国を対象に広範な調査を行った我々の調査によると、マネーサプライの急増加に引き続いての高インフレはほとんど観測されない。逆に、高インフレが勃発しても、先触れとしてのマネーサプライの急増加は高い頻度で観測されなかった。 論文の目的は、これら最新の研究結果を提示すること

    リチャード・ヴァーグ「マネーサプライの急激な増加はインフレを引き起こさない」(2017年1月16日)
  • アレックス・タバロック「1918年-1919年のパンデミックで有効だったのは?」(2020年3月7日)

    [Alex Tabarrok, “What Worked in 1918-1919?” Marginal Revolution, March 7, 2020] 1918年のインフルエンザパンデミックは,人類を苛んだ史上最大の感染拡大だった.死者数は世界でおよそ 4,000万人にのぼった.これには,合衆国での死者 55万人も含まれる.現代のパンデミックに対して,公衆衛生対応策と並行して公衆衛生の便益を最大化しつつパンデミックが社会にもたらす混乱の影響を最小限にとどめようとの対応を計画するにあたって,1918年~1919年のパンデミックから得られる教訓は適用できるだろうか? これが,Markel et al. の 2007年論文が立てた問いだ.同論文では,1918年~1919年にインフルエンザを鎮めるべく合衆国の43都市(当時の合衆国人口の約 20% におよぶ)でなされた対応とさまざまな結果に

    アレックス・タバロック「1918年-1919年のパンデミックで有効だったのは?」(2020年3月7日)
  • アレックス・タバロック「女子の読解における比較優位は数学関連分野での男女格差をだいたい説明する」

    Alex Tabarrok “Girls’ comparative advantage in reading can largely explain the gender gap in math-related fields” Marginal Revolution, September 3, 2019 前に「男子の方が数学・科学に比較優位がある?(optical_frog氏による訳)」という記事で,男子は女子よりも読解がずっと下手だから数学に比較優位があることを示す証拠をご覧に入れた(男子が数学に大きな絶対優位をもつわけではないのだ)。みんなが自分の比較優位に特化するとすると,このことが女子よりも多くの男子が数学教育課程に入ることを容易に促してしまう。たとえ女子に男子と同じかそれ以上の才能があったとしてもだ。このことは以前書いたとおり。 さて,これで生徒たちにこう告げたらどうなるだろう―

    アレックス・タバロック「女子の読解における比較優位は数学関連分野での男女格差をだいたい説明する」
  • 人種隔離と南部のリンチング

    2017年10月14日 原文 Lisa Cook、ミシガン州立大学経済学部 Trevon Logan、オハイオ州立大学経済学部 John Parman、ウィリアム・アンド・メアリー大学経済学部 概要:アメリカ南部における私的制裁、 リンチング がそのピークを迎えたのは1890年代であるが、いまだにそのインパクトは持続している。このコラムは人種隔離の新しい推計をリンチングの発生についてのデータに当てはめて、黒人人口比率の高い郡ほどリンチングが起こりやすかったというこれまでの発見、そしてさらに黒人人口の隔離が進むほどリンチング活動も増えていたという事を確認する。これらの発見は居住地の隔離が非都市部 (rural) において集団間の関係と、その関係に基づいた経済的社会的な結果にとって重要である事を示している。 増え続ける実証の証拠が、経済と社会的結果の両方についての人種民族的多様性と人種民族対立

    人種隔離と南部のリンチング
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