日本が誇る古都、世界的観光地としてその座を不動のものとしている「京都」の魅力に惹きつけられて何度もこの地に足を運ぶ観光客は多い。この土地における文化や歴史の蓄積はそれほどの魅力を持って当然のものだし、この街の価値は将来も失われる事もないであろう。しかし一方で、観光客の目にも触れず静かにその歴史に幕を閉じ、その存在もろとも闇に封じ込められた場所が京都の片隅にひっそり残っている。…「五条楽園」という場所だ。 京都には祇園や先斗町、上七軒などに見られる「お茶屋」と呼ばれる店が集まるお茶屋街が数多く存在しているのは周知の通りである。この五条楽園にあるのも、そうした「お茶屋」であり、芸妓がお稽古をする「歌舞練場」もちゃんとある。 しかし五条楽園が他のお茶屋街と違うのは、大阪の飛田新地のような特殊な「営業スタイル」を取っていたという事だ。毎月2、12、22日と「2の付く日」は休日で、お茶屋が一斉に休業