著: 木村美月 演劇での挫折 自分の居場所はここだけではないと気付けた 私は俳優の仕事をしている。初めて舞台に立ったのは9歳のとき。もともと学芸会は好きだったし、通っていた大泉学園にある小学校でも、教科書の朗読はいつも褒められた。妄想癖があって、自分を、読んだ本や漫画の主人公に見立てて過ごすことも多かった。あるとき、ソファーに置いてあった新聞を覗き見ると「市民ミュージカルの人員募集!」という文字が目に入り、夏休みに応募をした。 すると、あれよあれよという間に舞台に立つことができ、2年間ミュージカル漬けの毎日を送った。しかし突然、祖父が亡くなった。それから家族は忙しくなって、私もミュージカルを辞めてしまった。「大人になってもやりたいと思えていたら、それは本物だ」。そう思いながら。 やがて大学生になり、再び演劇の舞台に上がった。演技を本格的に学ぶため、レッスンに通い、オーディションを受けるよう
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