「住所の揺らぎ程度のことにAIを使いたいだとかデジタル音痴」だの「住所の正規化なんてExcelで2時間あれば作れそう」だの、たいへんフットワークの軽やかな言説の数々に、位置情報界隈のみならず住所の正規化や名寄せに少しでも関わったことのあるエンジニアが総立ちでマサカリを投げていたのも記憶に新しい今日この頃ですが(2023年6月6日)、この手の騒動は周期的に起こってる印象です。 ということはつまり いつまで経っても解消されない、解決が困難な課題である その困難さが界隈以外に共有されていない であるわけで、その都度Twitterにトリビアが投下されてはTLが賑わい華やかではありますが、そろそろ自分の整理としてもどれだけ日本の住所システムがカオスで、その計算機的な処理がいかに困難かをメモっておこうかと思いました。 なおこの件については既にQiitaにGeoloniaの宮内さんが鼻血の出そうな良エン
米連邦最高裁前で中絶を巡る憲法判断が覆ったことを歓迎する中絶反対派の女性ら=米首都ワシントンで2022年6月24日、西田進一郎撮影 米連邦最高裁は24日、1973年に女性が人工妊娠中絶を選ぶ憲法上の権利を認めた歴史的判例の「ロー対ウェイド判決」を49年ぶりに覆し、州による中絶の禁止や制限を容認する判断を下した。中絶容認派やバイデン政権が判決に強く反発するのは必至で、今年11月の上下両院選や州知事選などの中間選挙でも大きな論点になる。 訴訟では、妊娠15週より後の中絶を原則禁止する南部ミシシッピ州法の合憲性が争点となっていた。最高裁は24日の判決で「中絶は深い道徳上の問題だ。中絶の権利は憲法に明記されておらず、歴史や伝統に根ざしているわけでもない。憲法は州が中絶を規制したり、禁止したりすることを禁じていない」と結論づけた。
ジャーナリストの伊藤詩織氏と、最近はTwitterのプロフィールに「Ex-東大最年少准教授」「経済学者」という肩書きをつけている大澤昇平氏との裁判について、東京地裁は7月6日、大澤氏に対し、33万円の支払いと投稿の削除を命じました。判決文の内容を踏まえつつ、投げかけられている課題について考えてみます。 まずは、判決文から抜粋・要約しながら、事の経緯を追いましょう。 裁判の前提 大澤昇平氏は、東京大学大学院情報学環・学際情報学府所属の特任准教授の職にあった者である。ツイッター上の被告のアカウントは、2020年7月20日時点で、約1万8000人のフォロワーを擁していた。 大澤氏は、「伊藤詩織って偽名じゃねーか!」という文章に「# 性行為強要」及び「#芦暁楠」とのハッシュタグを付し、平成22年9月 8日に東京地方裁判所において伊藤詩織こと芦院楠という人物について破産手続が開始したことが記載された
法廷闘争の末、全国約8万の神社を束ねる“総本山”が断罪された――。 内部告発を理由に懲戒解雇されたのは不当だとして、宗教法人「神社本庁」(渋谷区)の元部長(61)らが処分の無効を訴えた訴訟。東京地裁は3月18日、「懲戒権の行使に客観的な合理性はなく、社会通念上相当性を欠く」と原告の訴えを認める判決を言い渡した。 「神社本庁が15年10月に1億8400万円で売却した職員寮が即日転売され、後に3億円以上に値上がりした疑惑が発端でした。元部長らは同様の案件が複数あり、売却先が同じ不動産業者で随意契約だったことを問題視。『不当に安く売却したのは背任行為に当たる』などとした内部告発の文書を配布したのです。これに対して神社本庁は17年8月、元部長を懲戒解雇し、裁判になっていました」(神社本庁関係者) 元部長(左)は会見で「主張がほぼ全面的に認められた」 ©共同通信社 内部告発で「疑惑の張本人」と名指し
2018年3月7日のことです。 夫は震える手で遺書や手記を残してくれました。 私は夫の死後2年経過した2020年3月18日、やっと遺書や手記を公表しました。 そして、同じ日に夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにし、夫と同じように国家公務員が死に追い詰められることがないようにするため、そして、事実を公的な場所で説明したかったという夫の遺志を継ぐため、国と佐川さんを訴えるところまで進みました。 以下、この訴訟に対する私の思いを陳述させて頂きます。 夫は、亡くなるおよそ1年前である2017年2月26日(日曜日)私と神戸市内の梅林公園にいた時、近畿財務局の上司である池田靖さんに呼び出され、森友学園への国有地払い下げに関する決裁文書を改ざんしました。 決裁文書を書き換えることは犯罪です。 夫は「私の雇い主は日本国民。国民のために仕事ができる国家公務員に誇りを持っています」と生前知人に話していた程国
1. やりたくない事件には「抑制的」な警察 2. 警察を動かしたいときどうするか 2-1.告訴と被害届 2-2. 告訴を受理すると捜査をする義務が生じる 2-3. 警察は告訴状の受理を嫌う 2-4. 弁護士が警察に捜査を求める場合どうするか 1. やりたくない事件には「抑制的」な警察 少し前の話だが、政治学者の三浦瑠麗氏が、共謀罪関連のコメントで 「日本の警察がいかに抑制的か知らず、法案の字面だけ読んで「大変な事態になる」と反応しているのでしょう。」 と述べて、困惑や嘲笑などの様々な反応を引き起こした。 www.asahi.com そのとき私はこういう感想をツイートしたし、これに付け加えることは特にない。 三浦瑠麗氏、国際政治学者だから、日本の警察が抑制的かどうかという話については、端的に言って素人じゃん。んで、素人のくせに口出したから案の定間違ってるじゃん。共謀罪関連の主張全体はそん
カルロス・ゴーン氏は、なぜ逃亡したか。 日本の刑事司法の闇のフルコースを喰らい、絶望したから、ではないでしょうか。 何か問題が起こると、誰かの責任問題にしたい人たちがいます。しかし、最初に申し上げておくと、今回の件に限っていえば、保釈を認めた裁判所にも、保釈請求を通した弁護人にも、一切責任も問題もありません。 これは、日本の刑事司法システムをきちんと理解している人にとっては当然の理解です。本件で裁判所と弁護人の責任を問おうとする人は、日本の刑事司法に関する基本的な知識がないし、本件の特殊性を過大評価しているだけと言っていいでしょう。 他方で、おそらく刑事弁護に携わる多くの弁護士は、彼が逃亡したくなった理由に、理解を示すと思います。 彼の弁護人を務めている高野隆先生は、昨日、ブログでこのようなコメントをされておられました。 確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない。
研究者や研究支援者などが研究人材としてキャリアを積んでいく中で、あるいは求人機関が研究人材を募集・採用する過程で、種々のトラブルが発生し得ます。 なぜこうしたトラブルが起こるのか、事例を交えて解説します。無用なトラブルを避け、適切な求人・求職・雇用を行うためにお役立てください。
前記事「ツイッターでの中傷投稿への法的対応事例-ネット中傷対策」で言及したX氏の別アカウントと思われるX2, X3の投稿内容と、それに対するTwitter社の判断を紹介します。 warbler.hatenablog.com ※X2と X3のアカウント主がX氏であるという確証はまだありません。 この記事は、Twitter社の「ルール違反の判断」についての問題提起が目的です。 【X2の投稿内容】 私に対して多数の中傷投稿がされましたが、代表的な投稿をいくつかピックアップします。全般に主張の論理がかなり飛躍しており、内容も下品で気味が悪かったので、できるだけ相手にしないようにしていました。 2017年 ※これらのツイートをTwitter社に通報しました。 通報した文面も記録してありますが、この中で「このアカウントは凍結処分を別に受けており」の部分は脱字があり、「このアカウント主は凍結処分を…」が
納税額の低い人を「税金泥棒」と見なす社会は、どう克服されてきたか 私たちはこの達成をすぐに忘れてしまう そもそも国民の権利は、納税の「対価」なのか 近年、納税額の少ない人間を「税金泥棒」と呼ぶ言説が登場し話題になっている。この興味深い言説が登場した経緯を簡単に振り返ってみよう。 金融庁のワーキンググループによる報告書——「平均的な高齢夫婦の場合、毎月およそ5万円の赤字が続き、退職後の30年間でおよそ2000万円の不足が生じる」、「若いうちから積立、分散、長期の投資などを奨励」——を受けて6月4日に麻生太郎財務相が記者に対して、「100まで生きる前提で退職金って計算したことあるか?」と説教を始めた映像に国民の多くが面食らった。 報告書に示される、威圧的な文字列に恐慌を覚えたこともさることながら、なぜこの財務大臣は、「100年安心」という建前を反故にする内容をこうまで偉そうに語ることができるの
賃金を払わず、騙して母国に連れ帰る チキ 1993年に技能実習制度が導入された後、たとえば問題事例が発生した、といった形で、研修制度が注目されたことはありましたか。 山口 研修・技能実習制度が建前は「国際貢献」であっても、実態は「低賃金労働力の受け皿」であるといったことが認知されるようになったのが2000年頃です。もちろんそれより前にも事例はあったとは思うんですけど、一部のNGOなどが彼らのおかれた立場について社会問題として取り組むようになったのは2000年頃からということですね。 チキ 2000年に入ってからは、研修生は、実質的労働者ではないかということで、労働者としての権利をめぐる裁判も行われたりしたんでしょうか。 山口 そうですね。 チキ とはいえ、建前上は研修なので、労働法の適用外ではあったわけですよね。 山口 原則的にはそうです。ただ、今の「インターン制度」などを想像していただけ
4月から現代ビジネスとTBSラジオ『荻上チキ・Session-22』のコラボがスタートします! 第1回となる今回は、昨年11月26日に放送され大きな話題を呼んだ「入管法の歴史」を編集してお届けします。 昨年12月に可決された改正出入国管理及び難民認定法(以下、改正入管法)が、4月から施行されている。 だが同法は問題だらけだ。従来の「技能実習制度」にも問題が多々あったが、改正入管法でその難点が解決されたとは言い難い。なぜ問題含みの法律が施行されてしまうのか。 それを理解するためには、日本政府が外国人の受け入れについて、これまでどのようなスタンスをとってきたのかを確認するのが一番だ。 1990年の日系人の受け入れや1993年の技能実習制度の創設、そして2010年の技能実習制度の変更…それらの背後に見え隠れするのは、「都合のいい労働力」として外国人を捉える視線だ。 外国人の在留資格について数多く
国の奨学金を借りた本人と連帯保証人の親が返せない場合に、保証人の親族らは未返還額の半分しか支払い義務がないのに、日本学生支援機構がその旨を伝えないまま、全額を請求していることがわかった。記録が残る過去8年間で延べ825人に総額約13億円を全額請求し、9割以上が応じたという。機構の回収手法に問題はないのか。 機構は奨学金を貸与する際、借りた本人が返せない場合に備え、連帯保証人1人(父か母)と保証人1人(4親等以内の親族)の計2人が返還義務を負う人的保証か、借りた本人が保証機関に一定の保証料を払い、返せない時に一時的に肩代わりしてもらう機関保証を求める。最近は半分近くが機関保証を選んでいるが、約426万人の返還者全体でみると7割近くが人的保証だ。 法務省によると、この場合、連帯保証人は本人と同じ全額を返す義務を負うが、保証人は2分の1になる。民法で、連帯保証人も含めて複数の保証人がいる場合、各
女性割合の調整は憲法違反・教育基本法違反で募集要項に記して許される問題ではない 東京医科大学が女性合格者を3割以下に抑えるために、入試における得点を女性にのみ一律に減点して員数調整していたというニュースが8月2日に流れ、当然のことながら多くの批判的論考がメディアに出た。このことについて筆者も考えを述べたい。 まず、この種の女性差別が決してあってはならないことで、憲法14条第1項で すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により政治的、経済的又は社会的関係において差別されない。 とし、またそれを受ける形で教育基本法4条において (教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。 と記されていることに明確に違反する。 しかし、今回の東
昨年、地裁判決によって、まとめサイト「保守速報」によるライター李信恵氏への差別や名誉棄損などが認定された(詳細は→http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20171118/p1)。この判決を不服として、「保守速報」は控訴していたが、2018年6月28日、大阪高裁が1審の判決を支持し、「保守速報」の訴えをいずれも棄却するという判決を出した。 名誉毀損や差別が認定され、李信恵氏への慰謝料が必要だとした点は、一審と同様だ。但し、高裁判決では、より差別事象ごとに整理した判決文の書きぶりになっていた。その書きぶりは、あたかもウェブ上の排外的主張に対する、法的観点からの丁寧なQ&Aのようでもあった。 以下、判決文から、控訴人(保守速報)の主張に対する高裁の判断について、気になった論点を自分なりに要約していきたい。 **** (1)各ブログの一体性及び新規性 【控訴人】 ・本件各ブ
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