「研究費で、ボールペンが買えない」 ある大学講師のツイッター上の投稿が、大きな反響を呼んだのは4年前。しかし、その後も国際的な競争の中、日本の大学の存在感は低下の一途をたどっている。そうした現状を打開しようと、政府が10兆円規模の「大学ファンド」を設立する。その運用益で、研究インフラの整備などの資金を捻出するのがねらいだ。このため「年間4%超」という高い運用目標を掲げるが、一方で失敗すれば公的な資金が失われるリスクもある。成算はあるのか?運用責任者に聞いた。(経済部記者 宮本雄太郎) 日本の大学を取り巻く環境は厳しい。 大学の運営費交付金などが含まれる「科学技術予算」は、この20年近くでほぼ横ばいだ。およそ1.3倍となったアメリカはもちろん、8倍以上に増えた中国に大きく水をあけられた。ドイツに抜かれ、韓国にも追い上げられている。 予算規模の停滞は、研究力の衰退につながっているという指摘が多