『Newsweek』 2007.01.31号 格差地獄はここまできた シンガポール: 成長を続ける「グローバル化の優等生」でも金持ちと企業だけが潤い、庶民の暮らしは貧しくなっている 人口430万人の小さな都市国家シンガポールは、グローバル化の波を最大限に利用した国といわれる。この10年間に、外国から積極的に投資と人材を受け入れ、法人税を大幅に下げ、バイオ、製薬、金融サービスといった重要産業の育成を奨励。諸外国と自由貿易協定を結んできた。 おかげで、過去3年間のGDP(国内総生産)成長率は平均7・6%。先進国としては驚異的な伸び率だ。雇用創出率も高い。 ただ、一つだけ問題がある。その恩恵が国民全体に行き渡っていないのだ。新しい統計によると、中間層は経済成長の果実をまったく味わっていないし、貧困層30%は5年前より生活が苦しくなった。 「高成長を遂げながら、実質賃金の中間値は伸び悩み、低所得層