カーニヴァル化する社会 鈴木 謙介 三つのテーマが扱われている。一つ目はフリーターやニートを視野に入れた現代の労働問題。二つ目は最近盛んに語られるようになった監視社会化と個人情報についての問題。そして三つ目は携帯電話をめぐる問題。そして最後に、そうした三つの話題において連続して発見される図式を踏まえた上で改めて言及される結論、つまり「社会」の「カーニヴァル化」をめぐる実相が提示される。 最初の二章を読んだ段階では、著者の鈴木氏が語らんとしてきたことがあまりピンと来なかった。再読して初めて最初の二章の議論がどういう意味を帯びているのかが見えてきたのだけど、その二章における結論としての図解を理解する前にそれらが示す個々の問題に対する鈴木氏の冷静で具体的な分析の方に気を取られてしまったのだ。だから第三章と最終章を読んで、改めて最初の二章を読み返すことになった。 乱暴に言えば、人は