20代の頃だが、あるカナダ人の友人に素直にウラヤマシイと言ったら、「もし私をウラヤマシイと思うのならそれはあなたにとって良くないことだから、絶交しましょう」と言われ、仰天したことがある。 すべて受験英語のなせる業だった。いいわねえという軽い気持ちだったのだが、忘れもしない、envyという単語を使った。第一、ウラヤマシイの意味の言葉、これ以外知らなかったのだ。この言葉に彼女にそこまでの反応を引き起こす力があるとは思っても見なかった。日本語ではいいわねえ、うらやましいわねと一種、お世辞のような使い方もするほどなのに、ウラヤマシイというのは罪なのだとショックと共に覚えたのだ。そして、言葉には薄っぺらな英単語帳ではカバーできない大きな文化が背後に控えているということも。 もちろん、美しい4人の子供達と、美しい家と、ハンサムなご主人、たっぷりした収入、犬にネコまで役者が揃い、昔のアメリカの理想的な家