おとなが苦労話をするのは、それが楽しい思い出だからです。 およそカネで買えるような享楽に、心の底から満足に浸れるようなものはありません。 そりゃ1日や1週間くらいなら、そういうことを楽しいと感じるかもしれません。でもモノを所有することから得られる満足は、持続しません。 たとえばアメリカではヨットを所有することは裕福層のひとつのゴールですが、「ヨットを保有していて嬉しい瞬間が2回ある。それはヨットを買った日と、それを売った日だ」と言われます。 ヨットを買った日、心がうきうきするのは当然ですが、そういう気持ちは、あっと言う間に薄れます。 一方、ヨットは維持にいろいろ手間や経費がかかります。つまり「お荷物」と化すのです。だから自分のヨットを転売できた日は、心の荷が下りて、うれしいというわけ。 最近流行の、「モノを買うから体験へ」というトレンドに関しても、同様のことが当てはまります。セレブなホテル