カイコとヒトの歴史 カイコ(Bombyx mori)という昆虫は、人類の歴史のなかで、人為淘汰の末にヒトが訓化してきたものであり、ヒトに寄り添って生きてきました。記録に残る時代にはすでに、カイコはヒトが飼わなければ生きられない生物となっていました。古くは、絹は交易において貨幣にも等しい重要なものとなり、数千年の歴史のなかで、絹をいかに多く生産するか、祖先が智恵をしぼってきたのです。また、日本では明治期以降の養蚕振興に伴い、多くの先輩研究者が遺伝学を用いて品種改良を行い、日本種/ヨーロッパ種/中国種の長所をあわせ持つ雑種を作り出した結果、日本ブランドと呼ぶべき高品質なシルクが生み出され、昭和初期には主要輸出品目になっていました。しかし、輸出品としてのシルクは次第にその役割を終え、現在では国内生糸産業はその黄金期に比べるとごくわずかなものとなってきています。 生糸以外で逆転の発想? カイコの繭
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