ブックマーク / itlaw.hatenablog.com (9)

  • ベンダが提供していない決済モジュールの不具合による情報漏洩事故 東京地判令2.10.13(平28ワ10775) - IT・システム判例メモ

    ECサイトにおけるクレジットカード情報漏洩事故が、決済代行業者から提供されたモジュールの不具合があったという場合において、開発ベンダの責任がモジュールの仕様・不具合の確認まで及ぶか否かが問われた事例。 事案の概要 Xが運営するECサイト(件サイト)において、顧客のクレジットカード情報が漏洩した可能性があるとの指摘を受けて、Xは、件サイトにおけるクレジットカード決済機能を停止した(件情報漏洩)。その後、Xはフォレンジック調査を依頼し、不正アクセスによってクレジットカード会員情報が漏洩したこと、クレジットカード情報はサーバ内のログに暗号化されて含まれていたが、復号することが可能だったこと、漏えいした情報は最大で約6500件だったこと等が明らかとなった。 Xは、件サイトを、Yとの間で締結した請負契約(件請負契約)に基づいて開発したものであって、件サイトの保守管理についても件保守管理

    ベンダが提供していない決済モジュールの不具合による情報漏洩事故 東京地判令2.10.13(平28ワ10775) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2023/11/03
  • アジャイル開発と開発言語の合意・未完成の責任 東京地判令3.9.30(平31ワ3149) - IT・システム判例メモ

    アジャイル開発の紛争事例。ポイントは、①契約の性質は請負か、②開発言語や納期などの債務の内容の合意、③損害の範囲。 事案の概要 X(設立予定会社の発起人)は、Yに対し、設立予定会社の営業に用いるウェブサイト(件ウェブサイト)の開発を委託し、件契約を締結した。開発報酬は月額2000米ドル、メンテナンスは月額800米ドルと定められた。いわゆるアジャイル方式で行うことが合意され、契約書は後追いで取り交わされた。 件ウェブサイトは、件契約締結時点において第三者が開発した原型が存在しており、それに追加・改良していくことが前提となっていた。 Xは、Yによる開発が遅延し、件ウェブサイトがまったく機能しないとして、Yに対し、件契約の債務不履行による損害賠償及び不法行為に基づく損害賠償として、既払代金相当額、逸失利益額、慰謝料、弁護士費用など、合計で約2000万円を請求した。 ここで取り上げる争

    アジャイル開発と開発言語の合意・未完成の責任 東京地判令3.9.30(平31ワ3149) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2022/05/06
  • 脆弱性対応(Heartbleed)の責任の所在 東京地判令元.12.20(平29ワ6203) - IT・システム判例メモ

    クレジットカード情報漏えい事故に関し,その原因の一つと考えられる脆弱性対応が運用保守業務に含まれていたか否かが争われた事例。 事案の概要 Xは,Xの運営する通販サイト(件サイト)を第三者に開発委託し,運用していたが,その後,2013年1月ころまでに,Yに対し,件サイトの運用業務を月額20万円で委託した(件契約)。件サイトはEC-CUBEで作られていた。なお,XからYへの業務委託に関し,契約書は作成されておらず,注文書には「件サイトの運用,保守管理」「EC-CUBEカスタマイズ」としか記載されていない。 2014年4月には,OpenSSL*1の脆弱性があることが公表されたが*2,件サイトでは,OpenSSLが用いられていた。 2015年5月ころ,Xは,決済代行会社から件サイトからXの顧客情報(クレジットカード情報を含む)が漏えいしている懸念があるとの連絡を受け(件情報漏えい)

    脆弱性対応(Heartbleed)の責任の所在 東京地判令元.12.20(平29ワ6203) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2021/03/03
    "本件情報漏えいが,OpenSSLの脆弱性によって引き起こされたものであるか,という重要な論点もありますが,裁判所はその点について判断するまでもなく,XY間の契約には,OpenSSLの対応業務は含まれていないと判断"
  • 取締役退任後の引継義務履行としてのパスワード開示請求 大阪高判平31.3.27(平30ネ1767) - IT・システム判例メモ

    在職中に業務に関するインスタグラムのアカウントを担当していた取締役に対し,パスワードの開示等を求めた事案。 事案の概要 Yは,X社の代表取締役として,個人のgmailアドレスを用いてインスタグラムのアカウント(件アカウント)を作成し,Xが販売していた商品の写真等を投稿していた。Yは他にも,元ラグビー日本代表選手であったことから,件アカウントには仲間のラグビー選手の写真なども投稿されていた。なお,件アカウント名の一部には,Xのブランド名が含まれていた。また,アカウントのホーム画面にはXのウェブサイトのリンクが設置されていた。 Yは平成29年5月1日にXの代表取締役を退任し,取締役も辞任した。その後,Xは,件アカウントにログインできないことから,商品の写真を投稿することができず,利用者が減少して営業上の損害を被ったとして,Yに対し,取締役辞任に伴う引継義務(民法645条,会社法330条

    取締役退任後の引継義務履行としてのパスワード開示請求 大阪高判平31.3.27(平30ネ1767) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2020/09/25
  • モバゲー会員規約における免責条項の差止 さいたま地判令2.2.5(平30ワ1642) - IT・システム判例メモ

    B2Cサービスの規約中における「当社は一切損害を賠償しません」という条項が消費者契約法が定める不当条項に該当するかが争われた事例。 事案の概要 件は,消費者契約法(法)13条1項所定の適格消費者団体であるNPO法人Xが,Y(DeNA)が運営するポータルサイトM(モバゲー)が提供する会員規約に,法8条1項に定める不当条項が含まれているとして,Yに対し,法12条3項に基づいて,下記条項のうち7条3項及び12条4項を含む契約の申込み又は承諾の意思表示の停止等を求めた事案である。 7条(会員規約の違反等について) 1 M会員が以下の各号に該当した場合,当社は,当社の定める期間,サービスの利用を認めないこと,又は,M会員の会員資格を取り消すことができるものとします。(略) a 会員登録申込みの際の個人情報登録,及びM会員となった後の個人情報変更において,その内容に虚偽や不正があった場合,または重

    モバゲー会員規約における免責条項の差止 さいたま地判令2.2.5(平30ワ1642) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2020/02/11
    "利用規約に明確性を欠いて,複数の解釈があり得るような場合であって,自己に有利な解釈で運用しているような場合には,不当条項になると述べており,事業者にとって厳しい見解"
  • ブロッキング差止め 東京地判平31.3.14(平30ワ13295) - IT・システム判例メモ

    NTTグループが実施すると宣言したサイトブロッキングの実施について差止めを求めた事件。 事案の概要 大変有名な話なので,簡単に紹介する。 平成30年4月に,知的財産戦略部が,インターネット上の悪質な海賊版サイトに関し,法整備が行われるまでの臨時的・緊急的な対応として,悪質なサイトへのブロッキングには緊急避難が成立することなどを発表し,ISP事業者に対して,自主的にサイトブロッキングを実施することが適当であるなどと発表した。 これを受けて,NTTグループは,悪質なサイトとして名指しされた3つのサイトに対して,ブロッキングを「準備が整い次第実施する」と発表した。 原告Xは,件訴訟を提起し,NTTグループに属するYとの間の通信サービス契約に基づき,または,件ブロッキングが通信の秘密を害するものである等と主張して,ブロッキングの差止めを求めた。 ここで取り上げる争点 Yが,件訴訟の係属中に

    ブロッキング差止め 東京地判平31.3.14(平30ワ13295) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2019/03/15
    "裁判所には,ブロッキングが通信の秘密を侵すことになるのか,あるいはISPの契約違反に当たるのか,何らかの判断を示してもらいたかったところです(現実には難しいだろうとは思いましたが。)"
  • ゲームシナリオ作成契約と請負/準委任 東京地判平30.10.26(平30ワ3180) - IT・システム判例メモ

    ゲームの企画及びシナリオの作成に関する委託契約の性質が問題となった事例。 事案の概要 Xは,Yから,スマホ用の乙女ゲームの企画及びシナリオの立案を依頼された。報酬が100万円であることが合意されていたが,Xがシナリオを提出した後もYが代金を支払わないため,提訴した。 ここで取り上げる争点 XY間の契約の法的性質。 Yは,XY間の契約は請負契約であって,審査・改訂の機会が与えられなかったから支払えないと主張していた。 裁判所の判断 裁判所は,準委任契約であるとした。 前記認定事実の経過に照らせば,XとYとの間では,プロジェクトの内容,方向性について上記の程度には合意されているものの,それ以上具体的な合意がされてはいないこと,Xにおいて,プロジェクトにおけるシナリオ作成についての具体的な内容に関する提案やYの意向の確認等はされており,Yからは抽象的な方向性等を示すことや要望を述べること

    ゲームシナリオ作成契約と請負/準委任 東京地判平30.10.26(平30ワ3180) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2018/12/25
  • 開発途中で退職したエンジニアの責任 東京地判平27.3.26(平26ワ12971) - IT・システム判例メモ

    ソーシャルゲームの開発中に退職した従業員らが,会社から開発頓挫の責任を追及された事例。 事案の概要 Xは,ソーシャルゲームゲーム)の開発を目的として設立された会社である。Yらは,Xの設立前から,Xのグループ会社の依頼を受け,ゲームの開発に関わり,Xが設立された後には,Xの従業員となって,ゲームの開発に従事した。 ゲームのリリースは,当初定められていた時期には間に合わず,延期された。 その後,Yらが,いずれもゲームのリリース前に退職したところ,Xは,Yらが開発設計仕様書も作成せず,突然の退職によってゲームの開発が頓挫して損害を被ったとして,主位的に不法行為に基づく損害賠償として,予備的に労働契約上の債務不履行に基づく損害賠償として,5400万円の賠償を求めた。 ここで取り上げる争点 Yらは,信義則上,あるいは労働契約上の義務として,開発設計仕様書を作成する義務があっ

    開発途中で退職したエンジニアの責任 東京地判平27.3.26(平26ワ12971) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2015/11/23
  • 要件が確定しなかったことにつきベンダに責任がないとされた事例 東京地判平22.7.22(平20ワ16510号) - IT・システム判例メモ

    ユーザがベンダに対し,ベンダが一方的に開発契約を解除したとして,損害賠償を求めたが棄却された事例。 事案の概要 ユーザXは,ベンダYに対し,平成14年9月18日に,Xの人材派遣業務に必要なシステムとして2つのシステムの開発を委託した(契約金額の合計は840万円)。 その後,Yは,9月25日にはソフトウェアの概要仕様を記載したシステム設計書を交付したが,Xは内容不十分であるとして記名押印を拒絶したためシステム設計書は確定しなかった。さらに,下請業者が交替するなどして,翌平成15年9月になってプロトタイプを作成するとともに再度ドキュメントを提出したが,Xは,やはり記名捺印を拒絶し,確定しなかった。その後もYからはドキュメントが提出されているが,Xはやはり拒絶した。Yは,Xに対し「弊社は契約書の範囲内で最後まで誠意をもって開発を行います。」などと記載した書面を交付した。結局,平成16年9月になっ

    要件が確定しなかったことにつきベンダに責任がないとされた事例 東京地判平22.7.22(平20ワ16510号) - IT・システム判例メモ
    t_f_m
    t_f_m 2013/06/07
    モンスターユーザー……
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